5.まいのファッションセンター

第5話

おだやかな土曜日の午後、居間の窓を全開にして、心地よい風を浴びながら、まいは読書をしていました。自然の空気と、湯飲みの熱いお茶の風味がマッチして、たまりません。 

「姉ちゃん」

 ゆうきの声がして、まいは湯飲みに口を付けたまま、前を向きました。

「ブーッ!」

 お茶を吹きました。ゆうきが顔にうんこと書かれた貼り紙を、しているからです。

「はあはあ……。あーっ本があ!」

 お茶でびしょびしょになった本を見て、がく然とするまい。

「まなみ、しっかり撮れたか?」

「うん。あはは! まいちゃんがお茶吹いてる~」

 まなみは笑いました。

「ぷっ。まいちゃんが……」

 あかねは笑いをこらえていました。

「あははは!」

 ゆうき、まなみ、あかねの三人は、まいがお茶を吹く瞬間が映った写真を見て、大笑いしました。

「ぐぬぬ~! お前らあああ!!」

 まいが、ブチギレました。

「で、なにしに来たってのよ?」

 まいが腕を組みながら、にらみました。

「いやあ、姉ちゃんがあんな貼り紙程度で笑うか実験してたんじゃあないよ?」

 目を泳がせているゆうき。

「でもまいちゃんがあんなので笑うなんてね」

 まなみが言う。あかねが苦笑していました。 

「なっ。小学生みたいだろ?」

 まなみとあかねが「うんうん」と、うなずきました。

「悪かったわね!」

 ゆうきを思いっきりげんこつしました。

「ところで本! これ街の図書館のなんだけど?」

 まいがにらむと、ゆうき、まなみ、あかねはそろって青い顔をしました。

「図書館の本~っ!?」

 今さら気づいたようでした。あわててあっちこっち走り回ったりしました。

「あわてるくらいなら最初から吹かせない!」

 と、そこへ。

「あんたたち、弁償すればいいじゃない」

 ゆうきが。

「そうだ! 同じの買って返すんだよ。いくら? ねえそれいくら?」

 まなみも。

「みんなで割勘だよ?」

 あかねだって。

「謝る時もいっしょよ!」

 まいはいじわるを言いました。

「おいくらですかお姉様って言えば、教えてあげるけど?」

「おいくらですか、お姉様!」

 土下座しました。

「なんか正直に言われると私がバカみたいじゃない……」

 まいは照れながら言いました。

「ざ、ざっと千円くらいよ」

 と、聞いて。

「じゃあ自分で弁償してね」

 三人は、まいに背を向けて、座りました。

「ちょーっと! なんなのよその態度は!」

 ゆうきがヒソヒソと。

「おいくらですか……」

 まなみがヒソヒソと。

「お姉様……」

 あかねがヒソヒソと。

「まいちゃんって……」

「主犯格はあんたたちでしょ!」

 まいが怒りました。


 まなみとあかねはまいとゆうきの家に来る前に、本屋で会っていました。

『ねえあかねちゃん。まいちゃんって、いつも制服着てるよね』

『ねっ。着てるよね、休みの日も』

「という会話を偶然本屋で会ったあかねちゃんとしていて、ここに来ました」

「はあ?」

「そういえば、まいちゃん今も制服だ! え、今日土曜日だよ?」

「は、はあ……」

 と、まいは返事。

「ねえどうしていつも制服着てるの? こないだ山登りに行った時も着てたよね」

「ええ?」

「あたしも気になるー!」

 まいはためらって、

「ど、どうして今さらそんなこと気にするのよ? 私っていったら制服でしょ?」

 ゆうき、まなみ、あかねの三人は、シラケた目をしていました。

「なによ? 言いたいことがあるなら言いなさいよ!」

 ゆうきが。

「姉ちゃんはね、偉い人になったと思ってるんだよ」

「はあ?」

 まなみとあかねが、

「へえ?」

「毎日制服を着て、自分を高貴に見せつけている、かわいそうなやつなんだよ!」

 ゆうきはまいにウインクしてみせました。イライラしたまいは、ゆうきの頭を両方の拳でグリグリして痛めつけました。

「うわあ……」

 引き気味のまなみ、あかね。

「そこ! ゆうきの言ってることはでたらめだから!」

 まいは言いました。

「そもそもね、小説のキャラクターに細かいこと気にしちゃいけないのよ。はい、今日のお話これで終了!」

 まなみが。

「いやいやまいちゃん。たとえ小説でもマンガでも、出てくる主役が中学生、社会人であるなら、読み手側の見本にならないといけないでしょ」

 あかねも。

「そうそう。この本の舞台は現実で、しかも、小六と中学生くらいの子たちばかり出てくるから、余計に変なことできないよね」

 ゆうきも。

「姉ちゃんがこのままわけもなく制服でいたら、悪い見本にされちゃう」

「いきなり現実的な話題を持ち出すなっ!」

 まいは怒りました。

「変えてるよね?」

 まなみが一言。

「まさかそれ、クリーニングに出していないよれよれのブレザー、スカート。洗濯をしないでずっと着っぱなしのシャツ、靴下……」

 まなみはにらんで、暗いオーラを放ちました。

「うわあ、最悪……」

 あかねが鼻をつまみました。

「そういや、臭いな」

 ゆうきがあたりを見渡しました。

「まてまてまて!」

 まいがみんなを止めました。

「このブレザーとスカートはちゃんとクリーニングに出したてのやつで、シャツも靴下も洗い替えしたのよ!」

 と、ゆうきが抱きしめようとして、

「じゃあ匂いを確かめ……」

 突き倒されました。

「そういえばまなみちゃん」

 あかねが聞きました。

「まいちゃん、山登った時も制服だったの?」

「そうだよ。ツチノコを撮りに行った時にね」

「ツチノコ!?」

 驚くあかねにまい、

「いやいやいなかったし、ツチノコが目当てじゃなかったし」

 言いました。

「ウソ~。山登りなのに」

 あかねはおかしいと思いました。

「別の休みの日にね、同じくうんこって貼り紙見せてやった時も、制服だったぜ」

 と言ってゆうきは。

「こうなると、国外に出る時も制服かもな」

「はあ? それはないわよ!」

 と言うまいにゆうきは。

「とは言ってもね。毎日制服なんだろ? 癖で着てきちゃうって。で、検査の時に引っかかちゃうんだよ」

「引っかかちゃうんだよ」

 と、まなみ。

「引っかかちゃうんだよ」

 と、あかね。

 ゆうき、まなみ、あかねはまいのまわりを、グルグルと回っていました。

「なんでグルグル回ってんの!」

「グルグル~。グルグル~!」

「気持ち悪いわ!」

 まいはため息をつきました。

「あんたたち、望みはなんでしょうか。包み隠さずに答えなさい」

 三人は声を合わせて、

「いろんな服を着せたい!」

「じゃあどうすれば着ると思う?」

 ゆうきが言いました。

「縄で縛って強引に……」

 と言うと、

「俺を縛るなーっ!」

 ゆうきが縛られてしまいました。

「まいちゃんは、おしゃれとか興味ないの?」

 まなみが聞きました。

「特には……」

「そうだ! ファッションセンター行こうよ。これからいろんな服見てこよ。ね?」

 あかねが提案しました。

「ええ? でも……」

 ためらうまいに、

「まいちゃんだって女の子でしょ。どんな服だって似合うよ」

 あかねが励ましてくれました。まいは顔をポッと赤らめました。そんなことを言われるのは、実にいつぶりでしょうか。

「これが最後だな」

 ゆうきを横からなぐるまい。

「ったくしょうがないな。一つ、行ってやるかな」

 女の子だからなんでも似合うと言われたのがうれしいのか、まいはファッションセンターに行くことに賛成しました。あえてそれは言いませんでした。

 あかねはゆうきに聞きました。

「ねえゆうき。ほんとに知らないの? まいちゃんが制服着っぱなしの理由。弟でしょ?」

 ゆうきは。

「知らない。気づいたら着てたし」

「だよね。あんたならそう言うと思った」


 ファッションセンターに来たのは実にいつぶりか。広々としていて、まいにとって女性ものや男性もの、帽子やバックなどがたくさん置いてある光景を見るのは、小学生の時、お母さんに連れられて来た以来でしょうか。

「よっしゃいくぞー!」

 店内に入るやすぐ、ゆうき、まなみ、あかねの三人は、走り出しました。

「あ、こら! 店の中を走るな小六と中学生が!」

 まいの注意は、耳に入っていないようでした。

 しばらくして、ゆうきが戻ってきました。

「ぎゃえ~!」

 ゆうきを見て、驚くまい。

「うっふーん! イケてる下着でしょー?」

 服の上に、ブラジャーを着けているゆうき。

 ゴチーン!

 ゆうきの頭を、げんこつするまい。

「あんたいくつよもう! 商品にそんなことするな!」

「お待たせー」

 まなみとあかねが、服を持って来ました。

「ちょっと。店の中走っちゃダメでしょ」

「早くまいちゃんにおしゃれさせたくてさ」

「あたしたち、まいちゃんに似合うだろうなーっての、それぞれで選んだんだ」

「いまいち信用ならないわね。特にゆうき!」

「じゃあまずは俺からだぜ」

 ゆうきはたたんである服を渡しました。

「姉ちゃんいつも制服だろ? だから軽めの服装がいいかなと思ってさ、選んだんだ」

「別に制服は重たくないわよ」

「着た着た」

 ゆうきはまいを、試着室に入れました。

 試着室の中でカッターシャツを脱ぎながら、思いました。

 好きで制服になってるのに……。

 山登りの時だって、休みの日の読書の時だって、フラッと買い物に行く時だって。自分の通っている中学の制服は、欠かしませんでした。制服が私服化するのは無理があると思いながらも、身に着ける理由は……。

 と、突然、試着室のカーテンが開きました。パッと入口に顔を向けると、ゆうきがいました。今は下着姿なのに。

「さすがDカップ。ブラジャーから見える谷間が、しみるね~!」

 と言って、試着室に堂々と入ってきました。

「じゃ、遠慮なくいかせていただきまーす!」

 と、手をモミモミさせて、胸を揉もうとしました。しかし、こんなことで怖気づくまいなんかじゃありません。


 ぎゃああああ!!


 店外まで、ゆうきの悲鳴がひびきました。なにをされたかは、ご想像におまかせします。

「ったくもうあいつは!」

 ムッとしながら、まいはタンクトップを着ました。

「!」

 着た瞬間、目をカッと開きました。

「おお!」

 まなみとあかねが、感激しました。試着室のカーテンを開けると、そこには紫のタンクトップに、黄色の短パンを履いたまいが出てきました。タンクトップは谷間が出ているし、短パンは太ももが極限まで出ているので、とてもボーイッシュでした。

「まいちゃんがまいちゃんじゃないみたい!」

 まなみが目を輝かせています。

「おーっすまなみ!」

 まいは怒るどころか、突然男らしく手を振ってきました。

「なんか軽くなったなこりゃうん。町内一周したくなるぜ!」

「いてて……。姉ちゃんひどいじゃないか!」

 怒っているゆうきが来ました。

「おおゆうき! さっきはちーっとやりすぎたぜ。すまんすまん!」

 肩を組んできました。ゆうきはまいのキャラが違いすぎて、当惑しました。

「まいちゃんがボーイッシュになってる。見た目も中身も……」

 あかねが言いました。

「記念に一枚!」

 まなみがいつも持ち歩いている一眼レフで、まいを撮りました。

「おっ、チェキ一万円!」

「え?」

「ジョークだぜ! あっはっは!」

 ゆうきの肩を組んだまま、まなみに冗談をかますまい。

「え、えへへ。姉ちゃん、相も変わらず、胸が出ていますな」

 と、ゆうきは後ろからまいの胸を、服越しで揉みました。

「やわあけえ~……」

 こういう時、かわいいヒロインはキャーキャー悲鳴を上げるところですが、今のまいはそうはいきません。

「おいこらワレーイ!!」

「うわあああ!!」

 ゆうきは、背負い投げをされ、ファッションセンターの天井を突き破り、空の彼方へと飛んでいってしまいました。


 まなみから手渡された服は、ドレスのようなものでした。たたんであるため、具体的になんなのかはわかりません。

「いやだね! 私は男らしいまい様だ。こんな女々しいもん着れるわけねえだろ!」

 タンクトップ姿の勇ましいまいは、まなみの選んだ服を着るのを拒みました。

「うう……」

 まなみが涙目になりました。

「うっ……」

 さすがに、かわいそうになったまい。

「うう……」

 まなみの涙目が、まいの視線をつらぬく。

「し、しょうがねえな! 貸せよ」

 まなみの涙目に負けたまいは、服を受け取って、試着室のカーテンを閉めました。

「べー」

 舌を出すまなみ。あかねは、まなみは小悪魔的存在かもしれないと、少し怖気づきました。

「チラッ」

 まなみの声。

「覗くなアホ!」

 まいはカーテンから顔だけ出して、怒鳴ってきました。

「言ってみたかっただけー」

 まなみがほほ笑みました。

「ふんっ!」

 怒ってカーテンを閉めました。

「あかねちゃん、暇だね」

「そう?」

「ファッションセンターに来たんだよ? なにかおもしろいことしようよ」

「じゃあ歌でもうたえば?」

 と言われて、まなみはコホンと咳払いをすると、リズムを取るため手拍子をしました。

「上手にお着替えでっきっるっかな~♪まいちゃん、中学一年生~♪ボタンはきちんとかけれるか♪おパンツきちんと履けるかな♪」

 適当に作った歌を、うたうまなみ。

「幼稚園児かわたしゃ!」

 まいが顔だけカーテンから出しました。

「あ、まいちゃん着替えたの?」

 あかねが言いました。

「あ、まだ。これ頭に付けたら」

 まいが手に持っているのは、ホワイトブリス。

「まなみ、あんたどういう選択してんのよ!」

「まいちゃんは制服っぽいのがいいと思ってさ、それにしたんだ」

「いや、お嬢様か私……は……」

 カーテンを開けて、ホワイトブリスも付けたまい。まいが着たものとは、メイド服でした。

「ええっ!?」

 あかねが呆然としました。

「おかえりなさいませ、ご主人様!」

 と、メイド服になったまいが、スカートの左だけたくし上げて、お辞儀をしました。

「ええ!?」

 あかねが驚きました。

「まいちゃん、萌え萌えキュンやって」

 まなみがまいに指示ました。

「かしこまりました! 萌え萌えキュン♡」

 両手でハートを作って、かわいく言いました。

「ていうか、なぜファッションセンターにメイド服があるのよ……」

 唖然とするあかね。

「まなみちゃん、まいちゃんがあの格好でその辺歩いてるの、想像してみ」

 まなみはあかねと想像しました。

「あははは!」

 笑いました。

「ご主人様……じゃなくてお嬢様方! こんな格好お恥ずかしいので、もっとマシなものをご提供ください!」

 メイド姿のまいが訴えました。

「じゃあなんでそんなしゃべり方してんの?タンクトップと言い、まんざらでもないんじゃないの?」

 ニヤリとするまなみ。

「違いますわ! なんでか知りませんけど、制服以外のものを着ると、キャラが変わってしまうのですわ!」

「ちょっとなに言ってるかわかんないんだけど」

「まあまあまなみちゃん。まいちゃん、あたしのマシだと思うけど」

「まあ! あかね様のなら、安心できますわね」

「あ、あかね様……」

 あかねは唖然としました。


 試着室のカーテンが開きました。まいは、あかねの選んだ白のパーカーと、半ズボンを履いていました。

「うんまあ、今までのよりマシって感じー?」

 まいは、チャラくなっていました。

「もうちょっとズボン長いのがよかったかなあ。これじゃあーさ、ノーパンみたいじゃん? ていうか、またあたいキャラ変わってなくね!? もうやだ~!」

 パーカーの裾が長いのと、半ズボンが短いせいで、下が履いていないように見えました。キャラが変わってばかりいるので、まいは泣き崩れました。

「ごめん、適当に選んだ」

「みんなー!」

 ゆうきがかけてきました。

「ゆうき。今までどこ行ってたの?」

「家に帰って、母さんに聞いたら、どうやら姉ちゃんは、服装でキャラが変わるという、謎の性質があるらしい」

「えー!?」


 小学生の時、まいとお母さんがファッションセンターに来た時でした。

「まい、ちょっとこれ着てみてよ」

 お母さんが渡したのは、革ジャンとジーパンでした。

「えーこれえ?」

 しぶしぶ受け取るまい。試着室に入り、着替えました。

「イエーイ! ロケンロール!」

 着替えた途端、まいはロックなキャラになりました。

「逮捕しちゃうぞ?」

 警官の格好をすれば、警官になりきったし、

「どすえ~」

 着物を着れば、舞妓になりきりました。


「というわけで、姉ちゃんが姉ちゃんでいられる格好というのが、無地のカーディガンやシャツ、ズボンというわけなんだ」

「じゃあ、それらを買えばいいってことじゃないの」

 と、あかね。

「まなみたち、無駄足を踏んだね」

「一番聞きたいのは、姉ちゃん、キャラが変わってること、覚えてる?」

「覚えてないわ」

「でもまいちゃん、メイド服になった時、恥ずかしいとか言わなかった?」

「ええ? 言ったっけ?」

「多分、覚えてなくても、まいちゃんの性格はそのままなんだよ……」

 あかねがまなみに言いました。

「でもまいちゃん。制服を毎日着ているのはよくないんじゃない?」

「そうだよ。服装も、オンとオフの切り替えが大事なんだよ?」

 まなみとあかねが言いました。

「この際だから言うけど、ちゃんと理由があるのよ」

 まいは、なぜいつも制服を着るのか、打ち明けました。

「私が私立中学校に入ったのはね、制服がかわいかったからなの。ただそれだけ。それをお母さんに言ったら、そこはうんと勉強しないと入れないよって言われて。だから私、その日からうんと勉強をがんばった。負けずぎらいだし、どうしても着たかったからね。受かった時、うれしかった。憧れの制服が着れること、なによりも、自分が望んだことを、叶えることができたことが、本当に!」

 胸に拳を当てて、言いました。

「制服は私の憧れと努力が詰まった唯一の存在。だから、簡単に脱ぐことはできな……」

 目を輝かせている三人。

「せーの! ドッキリ大成功!」

 と書かれた看板を、ゆうきが掲げました。まなみはビデオカメラを掲げました。

「え? は?」

 まいは、当惑していました。

「実は、もうしばらく見れないであろう姉ちゃんの私服姿とキャラが変わる姿を、見たかっただけだったのです」

「ねえねえもっかい見ようよ、制服でいるほんとの理由を明かしたところ」

「あたし私服になったとこ全部!」

「キャラが違うところも全部見よう!」

 つまり、まいは一日中踊らされていたことになる。

「冗談じゃないわ!」

 まいは、三人を追いかけました。

「おしゃれの次は、おしおきだあ!」

 店内で走っちゃいけないと言っておきながら、思いっきり走っているまいでした。

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