第3話

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 給食になりました。給食は食堂で食べます。一人で食べる人や、グループで組んで食べる人がいました。アリスは、白雪姫と給食を食べました。

「げ〜。今日はあたしのきらいなシイタケ入ってるじゃん」

 アリスは、クリームシチューに入っているシイタケを、白雪姫のクリームシチューの皿に入れました。

「おやめなさい! 行儀が悪いわよ?」

「なによ? いいじゃん、家じゃないんだからさ」

「あなた、家で同じことしてお母さまやお姉さまに怒られてるでしょ?」

 白雪姫が呆れました。

「もちろん。でも、あんたは食べてくれるでしょ?」

「誰が食べるのよ? あんたの汚い口をつけたスプーンですくったシイタケなんて」

「なんですって!?」

 イラッとするアリス。

「まっ、世界で一番美しいわたくしは、シイタケもにんじんも残さず食べますけどね」

 白雪姫は、スマホを触りました。

「ちょっと、食事中スマホ見るの行儀悪いよ?」

「なによ? 仕返し?」

「いや、仕返しもなにも、ほんとのことじゃん……。ていうかあんたさ、今日気持ち悪いくらいご機嫌だよね。なんかあったの?」

「うふふ。知りたい?」

「知りたい知りたい」

 コクコクうなずくアリス。

「知りたーい?」

「知りたーい!」

 ニコニコ笑い合うアリスと白雪姫。

「ほ・ん・と?」

 突然色気を出す白雪姫。

「まどろっこしいな! はよ教えろ!」

 ムッとするアリス。

「これよこれ」

 白雪姫は、スマホを見せました。アリスはスマホを覗きました。

「なにこれ?」

 画面に、白雪姫のピースした写真と、水色の長い吹き出しで囲まれた文字が見えました。

「まだわからないのニブチン。これはチャットよ。わたくし、これを使って、世界で一番美しい姫だって言われましたのよ?」

 白雪姫は笑顔で自慢しました。

「え、どうやって?」

「簡単よ。わたくしの写真を送って、あとはやりとりをすればいいんですわ」

「え、え?」

 首を傾げるアリス。

「もしかして、あなたチャット自体知らないんじゃ……」

 白雪姫は、説明しました。

「チャットとは、スマホやパソコン一つで世界中の人と繋ぐことのできるシステムのことを言いますの。それがこれよ」

 白雪姫はチャットの画面がついたスマホをアリスに掲げました。

「ほうほう」

 うなずくアリス。

「そこでわたくしの写真を掲載し、これで自身の美しさをはかってみたの」

「うんうん」

「そしたら! わたくしのことを世界で一番美しい姫だって言ってくれた方がいましたの! もううれしくてうれしくて……。それがこれよ!」

 白雪姫は、アリスにスマホを見せました。そこには、「確かに世界で一番美しい姫」と書き込んでありました。その下に、白雪姫の返事で、「超うれしー♡」と、書かれてありました。

「へえー。ネットって、調べ物や動画を見るためだけじゃないんだ」

「もちろんよ。こうやって世界中の人と繋がれますし、ネットを通じて仕事を進めることも可能ですわよ?」

「仕事?」

「そっ。お父さまの会社は、商品をスマホやタブレット、パソコンで管理してると言っていましたわ!」

 胸を張る白雪姫。アリスはまだ少しよくわかっていないようでした。

「ま、お嬢様のくせしてうちわを使うおバカさんのあなたには、まだ早い話だったかもしれませんが……」

 ほくそ笑む白雪姫。ムッとしてほおをふくらませるアリス。

「わたくしの美しさは、ネットを通じても伝わるものですの!」

 と、スマホを見つめた白雪姫は、目を丸くして固まりました。

「ん、どうした? なんか固まってるよ?」

 アリスが呼びかけました。

「なんですって〜!!」

 白雪姫に雷が落ちました。怒ったのです。

「うわっ!」

 アリスが驚いて、クリームシチューのスプーンを落としました。

「な、なになに! 急にどうした?」

 白雪姫は怒りながら、スマホをアリスに見せました。

「あっ」

 スマホには、「あんたはこの世で一番美しくない」という書き込みがありました。

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