第23話 京都離脱

**京都の戦火**


6月26日、京都の街は戦乱の火に包まれていた。西軍は斯波義廉の指揮の下、朝倉と甲斐氏の兵を従えて、細川勝久の邸宅へと攻め入った。激しい戦闘が繰り広げられ、細川勢との間で血を流す闘いが続いた。西軍の猛攻に対抗する細川勝久は、かつての栄光を取り戻すため必死に抵抗していた。


東軍の赤松政則は、南下して正親町を通過し、猪熊に向かって進軍する。斯波勢を押し退けながら、赤松は勝久邸の隙をついて、勝久を追い詰めた。勝久はこの混乱の中、なんとか東の細川成之邸へと逃げ込むが、西軍は追撃を続け、勝久邸に火を放った。


その頃、京都の北側の船岡山から南の二条通りまで、火の手が上がっていた。街は恐怖と混乱に満ち、住民たちは避難することもままならない。戦火が広がる中で、街の神社や寺院も無情にも炎に包まれ、百万遍の仏殿や革堂も焼け落ちていった。


**和睦とその影**


28日、将軍足利義政はついに両軍に和睦を命じた。彼は勝元の行動を非難し、これ以上の流血を避けるために動き出した。義政は義就に河内下向を指示し、伊勢貞親には軍を率いて上洛するよう命じた。彼の狙いは、乱の収束と自身の復権であった。しかし、状況は思うようには進まなかった。


7月3日、勝元の要請に応じて将軍の牙旗が東軍に下されると、事態はさらに複雑化した。足利義視が総大将に推戴され、戦乱は新たな局面を迎える。東軍は再び軍事行動を開始し、7月8日には赤松政則が一条大宮で山名教之を打ち破った。この勝利は、東軍にさらなる士気を与え、京都全体に緊張が走った。


義政の降伏勧告がもたらしたのは、逆に西軍の動揺であった。斯波義廉や六角高頼、土岐成頼は一旦降伏の意向を示すも、朝倉孝景の首級を求められると、再び抵抗を決意した。彼らの心中には、敗北への恐怖と誇りの狭間で揺れる葛藤があった。


**悪化する状況**


その後、東軍は義廉邸にも攻撃を開始し、京都は再び兵火に巻き込まれる。南北は二条から御霊の辻まで、東西は大舎人町から室町まで、街の至る所が炎に包まれ、住民たちは再び避難を余儀なくされた。市中は混乱し、戦士たちの叫び声が響き渡る。


田中はこの混沌とした状況の中で、何とか自らの道を見出そうとしていた。彼の心には、戦火に苦しむ人々を救いたいという思いが募っていった。彼は、戦士たちの間に立ち、和解の道を模索する決意を固めた。だが、彼の力だけでは到底足りない。彼は、八郎太郎や風狸けんなどの妖怪たちの助けを借りる必要があった。


田中は、混乱する京都を離れ、八郎太郎の元へ向かう旅を決意する。彼は彼らの力を借りて、この戦乱を収束させるための方法を探し続けた。これからの運命を左右する冒険が待ち受けていることを、彼はまだ知らなかった。

  • Xで共有
  • Facebookで共有
  • はてなブックマークでブックマーク

作者を応援しよう!

ハートをクリックで、簡単に応援の気持ちを伝えられます。(ログインが必要です)

応援したユーザー

応援すると応援コメントも書けます

新規登録で充実の読書を

マイページ
読書の状況から作品を自動で分類して簡単に管理できる
小説の未読話数がひと目でわかり前回の続きから読める
フォローしたユーザーの活動を追える
通知
小説の更新や作者の新作の情報を受け取れる
閲覧履歴
以前読んだ小説が一覧で見つけやすい
新規ユーザー登録無料

アカウントをお持ちの方はログイン

カクヨムで可能な読書体験をくわしく知る