第21話 坂上田村麻呂
西軍は6月14日に大和国の古市胤栄、19日に紀伊国の畠山政国などの援軍が到着し始めたが、8月23日に周防国から大内政弘が伊予国の河野通春ら7か国の軍勢1万と水軍2千艘を率いて入京して勢いを回復した。同日天皇・上皇が室町第に避難し、一郭が仮の内裏とされた。一方では足利義視が伊勢貞親の復帰に危険を感じて出奔し、北畠教具を頼って伊勢国に逃亡した。この頃から西軍は管領下知状にかわって諸将の連署による下知を行い始めた。
大内政弘は8月中に船岡山に陣取った。9月1日に攻めかかった武田勢を畠山義就・朝倉孝景が追い出し、武田勢が逃げ込んだ三宝院に火を放った。6日に将軍義政は再度義就の河内下向を命じたが、義就は従わず戦いを続けた。9月18日に京都郊外の南禅寺山でも戦いが起こり(東岩倉の戦い)、10月3日に発生した相国寺の戦いは激戦となり両軍に多くの死傷者を出したが、勝敗を決するには至らなかった。しかし、焼亡した相国寺跡には斯波義廉が陣取り、また義就は宗全邸の西に進出し、東軍は劣勢に立たされた。
朝廷においては10月3日に後花園法皇が興福寺に山名宗全の追討を命じる治罰院宣を発したほか、12月5日(12月31日)に正親町三条公躬(公治)・葉室教忠・光忠父子・阿野季遠・清水谷実久ら西軍派とされた公家の官爵剥奪が決定された。彼らは富子の実家である日野家と対立関係にあった三条家の一族や縁者が多く、義視を支持していた公家達であった。
**妖怪と英雄の出会い**
京都の戦が収束し、人々が新たな日常を取り戻し始める中、田中は街を彷徨っていた。彼の心には妖怪たちとの出会いと、平和の実現への期待が交錯していた。しかし、彼の運命はさらに不思議な出会いへと導かれる。
ある晩、田中は高台寺の近くを歩いていた。月明かりに照らされた石畳の道を進むと、突然、空に輝く北斗七星が目に飛び込んできた。その光の中から、ひときわ強い光が放たれ、田中は立ち止まった。
「おお、光の使者よ!」その声は天から響いてきた。振り返ると、そこには堂々とした姿の武士が立っていた。彼は坂上田村麻呂、古代の英雄として名高い人物であった。彼の周囲には、北斗七星が描かれた光の輪が浮かんでいる。
「我が名は坂上田村麻呂。この星の導きにより、貴殿に会うためにここに降り立った。」田村麻呂は、威厳を持って告げた。
田中は驚きつつも、彼の存在が何を意味するのかを知りたかった。「なぜ、私の元に…?」
「この戦乱の中で、我が北斗七星の導きが人々に安らぎをもたらすことを願っている。しかし、妖怪たちの力が再び混乱を招く恐れがある。」田村麻呂は、真剣な眼差しで田中を見つめた。
田中は彼の言葉に感銘を受け、妖怪たちとの交渉の経緯を語った。「私は妖怪たちと手を組み、平和を取り戻そうとしています。しかし、彼らは過去の争いを忘れない者たちです。どうしたら彼らを制御できるのでしょうか?」
田村麻呂は頷き、「妖怪たちには、それぞれの思惑がある。彼らを理解し、心を通わせることが必要だ。私が貴殿の助けとなろう。共に北斗七星の力を借り、妖怪との和解を目指そうではないか。」
そう言うと、田村麻呂は手をかざし、北斗七星の光が田中の周囲を包み込んだ。その瞬間、田中の心に戦いの歴史と、妖怪との共存の可能性が閃いた。彼は新たな決意を抱き、田村麻呂と共に妖怪たちのもとへ向かうことを決めた。
**妖怪との対話**
月明かりの中、田中と田村麻呂は妖怪たちの集まる場所、八坂神社へと足を運んだ。妖怪たちは集まり、彼らの顔には戦の余韻が残っていた。
「この者が坂上田村麻呂である。」田中は彼を紹介した。「彼は、北斗七星の導きを持つ英雄です。共に、この争いを終わらせる方法を探りたい。」
妖怪たちは驚き、そして興味を示した。「本当に北斗七星の英雄なのか?我々の力を借りるつもりか?」妖怪の一人が訊ねる。
田村麻呂は静かに答えた。「我々は共に生きることができる。過去の恨みを捨て、新たな未来を築くために、力を合わせる必要があるのだ。」
その言葉は、妖怪たちの心に響いた。彼らは自らの過去を振り返り、田村麻呂の存在が新たな希望となることを感じ取った。
「ならば、共に手を組み、戦の苦しみを乗り越えよう。」妖怪たちは声を揃えた。
田中は、田村麻呂と妖怪たちの力を結集し、京都の平和を取り戻すための新たな道を歩むことを決意した。これから始まる新たな物語は、妖怪と英雄、そして人間が共に生きる未来への第一歩となるのであった。
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