第55話
NATSUは私の手を引き寄せると、肩までの髪を触って、
「俺も黒髪にしようかな…」
おでこに、そっとキスをしてきた。
「え」
178センチのNATSUを見上げて、
「……子供だから?」
心臓ドキドキしてるくせに、やや残念がる大人の女の振りをした。
「キスするときは、目を瞑るって未来ではなくなってるのか?」
「あ」
私の顎を指で持ちあげ、
NATSUは優しい瞳のまま、唇を合わせてきた。
……ファーストキスは
甘酸っぱいなんて誰が言ったんだろ?
微かなタバコの匂いと、ミントの匂いがする初めてのキスに、
カタカタと足が震えた。
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