第29話

私を乗せた白いポルシェは、林道を通り抜け、閑静な住宅街に止まった。




" 今田 "と書かれた表札の家。




インターホンをNATSUが鳴らすと、これまた金髪の垢抜けた男性が玄関から出てきた。





「NATSUにしては迎え早くね?」



「まだ東京には行けなくなった。

今田、なんか女もんの服ない?」





入り口でNATSUの後ろにいる私を見つけた今田さんは、顔をしかめて、



「なに女子高生と遊んでんだよ?久々の地元だからってよー」



NATSUをつついていた。




「俺の妹」


「お前兄貴しかいねえだろ?」





「今日、腹違いの妹の存在を知ったんだよ、いいから、お前の女装趣味な服貸せよ」




「女装じゃねえ、衣装だよ」




NATSUはヅカヅカ家に入り込み、私を手招きした。




「あー、……そうだ、なんて呼ぼう?名前は?」




「愛で……す、あ、お邪魔します」




不可解そうにする今田さんにぺこりと会釈して、NATSUと共に二階に上がった。

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