第28話

――――ポルシェ…。



「生まれて初めて乗ります、……もう 一生乗れないかも」




ドキドキしながら貴重な助手席で、NATSUのタバコの匂いを嗅いだ。




SevenStars。




「俺もメジャーデビューしたものの、落ちたらこれが最後の外国車かも」



「落ちるなんて、それはないですっ!あんなに凄いバンドなのに、必ず売れます、十年後だって、二十年後だって、きっと…」



言いながら。


あの前歯のない男の【クスリ】の話を思い出した。



「……」


口をつぐむ。



「二十年ねー…俺42歳だわ、あ、

今からは敬語やめろよ、兄妹でおかしいから気をつけてな」




再びコクンと頷き、

走り出した車から流れ下がるネオンを見つめた。





「時間無いから飛ばすぞー」




NATSUは、急いで時を駆け抜けたいかのように、


アクセルを思い切り踏んだ。

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