第12話

潰れたライヴハウスのドアをバン!と勢いよく開けると、






ワァー――――----------!!!


大きな歓声が聞こえてきてビックリ。




二百人はいるかと思われる観客を前に、ステージの上でバンドが演奏していた。





ここ、潰れてないんだ……?




響き渡るギターの音色に激しいドラム。




おかしいな。階段にこの音漏れてなかったのに。





熱気ムンムンの観客に気をとられ、自分が追われてたことに遅れて気付く。



今は……追ってきてない…。




ホッとして、満員の客に紛れてライヴを鑑賞することにした。





ステージのボーカリストが、



「俺たちのデビュー前のライヴにようこそー!」



笑顔でそう言うと、更に観客が湧いた。





「NATSUー!!」





女性客がキャーキャーすごい。





……あれ?




そのボーカルの顔を見て、" 見たことある" と思った。





金髪のロン毛の間から見える端正な顔、


猫のような大きく鋭い瞳…。





あ!!







再び演奏が始まり、


けして、初耳ではないサウンドが愛の心臓にひびく。






このひとたち、



【blue-black】だ!

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