第11話

けして、足は遅くはないのだけど

今は、恐怖で 絡まりそうな両足をただ、必死に前へ運んだ。




「待てよー!愛ちゃーん!」




男2人がまだ追いかけてくる。





曲がり角の廃虚ビルに逃げ込んだ。


地下があるのに気付き、震える足で暗い階段を下りていく。




『どうか、こっち来ませんように!』





古く、暗く、おまけにカビ臭い。


地下入り口の汚いドアを見れば、開けるのをためらってしまう。





【LIVE-GYM--DOLL】



物音一つしない、潰れたライヴハウス。




「愛ちゃん!みっけー!」







チャラ男の嬉しそうな声が上から聞こえ、


躊躇いを捨てて、そのドアを開けた_____

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