下着ドキドキ

「ふわ・・・あ」

 

 女の子になってから二日目の月曜日の朝。

カナタは寝ぼけ眼をこすりながらベッドから体を起こした。

いつもの習慣でスマホをなんとなく手に取る。時刻は6時。いつもより少し早い起床だった。

 

 カナタはぼーっとスマホを眺めていたが、おもむろに立ち上がり部屋の鏡の前に歩いていく。


「・・・女の子のまんまだ」

 

 カナタは自分の体を眺めポツリと呟く。

鏡に映ったのは男ではなくかわいらしい女の子だった。


「夢じゃなかったんだな・・・」


 夢であればどれだけ良かっただろう。カナタは昨日の記憶を思い出そうとする。

しかし、女の子になったショックがでかすぎて、昨日の夜何してたのかさえ思い出せなかった。


「あれ、机の上に何か置いてある」

 

 カナタは自分の学習机の上を見た。そこには女子専用の学生服と女性の下着が置いてある。

それらのそばにこんな書き置きが添えられていた。






可愛い可愛いカナたんへ♪今日からあんたは女の子なんだから、私の高校生の頃の学生服と下着を貸してあげる!これからはちゃんと女の子磨きをするように!頑張って私好みの妹になってね♪


PS:私の下着で変なことをしないように♪

カナたんのことが大好きな姉より






 カナタは姉からの書き置きをすぐにクシャクシャにしてゴミ箱に投げ捨てて、机の上の学生服を見つめた。


「こんなの俺、完全に女の子じゃないか。これ着ないとだめなのか」


 原則、カナタの高校の生徒は私服ではなく学生服を着ていかなければならない。私服ならちょっと男っぽい服装でも大丈夫だと、カナタは思っていただけになんとも言えない気持ちになった。

 しかし、カナタは学生服のことはそこまで気にも止めなかった。問題は傍の下着。


 下着は上下揃えてあり、上はグレーのスポーツブラ、下は赤いリボンがポイントの可愛らしいパンツが置いてある。


「・・・これ付けるんだな」


 カナタはじっくりとそれらを眺める。女の子の服の下にあるものを自分が付ける。一体どんな気持ちになるんだろう。カナタは少しだけ自分の気持ちが高揚するのを感じた。


「まあ、男に戻るまでだし・・・」

 

 カナタは自分に言い訳するようにスポーツブラを手に取る。

確かブラジャーと違って難しいことはないと聞いた。だったらすぐ付けられる。

 

 とりあえず鏡の前に行き、パジャマを上下を脱ぐ。

身につけているのはいつもどおりの白いTシャツと青いトランクスだ。

カナタ白いTシャツを脱ごうと手をかけた。しかし躊躇する。


「俺、今女の子なんだよな・・・」


 カナタは自分の胸の辺りを見つめる。カナタの胸はTシャツ越しにほんのりと盛り上がっている。

昨日はあまり見ないようにしていたが今のカナタには女の子のこと同じ膨らみが付いているのだ。カナタは自分がドキドキしているのを感じた。


「仕方ない仕方ない、着替えなきゃいけないんだから」


 カナタは思い切ってTシャツを脱ぐ。 

鏡の前には可愛らしい胸が丸出しのトランクスを履いた女の子が映った。

その姿にカナタは思わず息を呑み思わず見つめてしまう。


「これが女の子・・・」

カナタはおずおずと自分の胸を下から揉む。小さいながら手にはものすごい優しい感触が伝わってきて、まるでマシュマロのように柔らかいと思った。


 もみもみ・・・もみもみ・・・


「えへ、えへへ、俺女の子のおっぱい触っちゃってる・・・」


 あまりの楽しさにカナタはすごく気持ち悪い笑いが出た。


「い、いやいや!何してんの俺!?キモッ!」


 だがすぐに我に返り、カナタはぶんぶんと頭を横に振った。

そしてすぐにスポーツブラを上から装着する。サイズは不思議とピッタリですんなりとフィットした。


「ふう、危ない危ない思わず変態になってしまうところだった・・・さっさと着替えよう」


 カナタはさっさと着替えを済ませるべく、今度はトランクスを脱ごうとした。

だが、またも躊躇してしまう。


「・・・確かにないな」


カナタは股間を軽く擦り、いつも自分の股間にあったものがないことを確認した。


「どうなってるんだろう・・・」


 一瞬いかがわしい想像をして、顔を赤くしていやいやと首を振る。流石に女の子のアソコを想像するのはカナタにとってはあまりにも刺激が強すぎた。

 

 カナタは鏡の前で目をつむり、すぐにトランクスを脱ぎ、パンツを装着した。パンツもすんなりとフィットした。なんだか柔らかい感触だ。


「ふう、流石にラインを超えちゃいけないからな」


 うんうん、とカナタは満足げであった。


 ピンポーン!

突如、家のインターホンが鳴った。


「カナター!圭吾くんが来てるよー!」

 台所から母親の声がカナタの元へと届く。


「え、圭吾?もうそんな時間になったのか!やばい!はやく着替えなきゃ!」

 いつの間にそんな時間にと思い、カナタはスマホを見ると7時30分と書いてあった。普段は後10豊後に圭吾と学校に行く時間だ。やばい、急がなければ。カナタは学生服に着替えようとする。


「カナター!起きてるか?起きてるなら開けるぞー!」


 カナタの部屋の前には、すでに圭吾と呼ばれる男の子の声が聞こえてきた。


「ちょ、なんでいんの、てか、なんで勝手に開けようとしてんの?」


 カナタはスカートの付け方に苦戦していた。

しかし彼はそんなもの知ったこっちゃなく、無情にも部屋のドアは開け放った。






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