第17話 葉山さん家が鷹塚さんでいっぱい
鷹塚さんが帰ったあと。
我が家の話題は、鷹塚さんのことで持ち切りになっちゃった。
美月なんか夕食のときも、また鷹塚さんを呼べ! とうるさかった。
海未も、お風呂上がりにお気に入りの絵本を持ってきたと思ったら、王子様キャラが活躍する話の読み聞かせをするようにせがんできて、王子様が登場するたびに、「たかつかさんなの」と呟いては、モノいいたげにじっとオレを見上げてきた。
夜遅くに帰ってきた母さんも、美月から話を聞いたのか、鷹塚さんに興味を示す始末。
いっそ、我が家で「鷹塚禁止令」を発したいくらいだよ……。
そして迎えた翌朝。
オレは早起きして、キッチンの前でお弁当の準備をする。
「そういえば……鷹塚さん、本当にあれでお昼ごはんは満足なのかな?」
鷹塚さんの話題で持ち切りだった影響だろう。お弁当とお昼ごはんを結びつけて、鷹塚さんのお昼時の光景を思い出してしまう。
もう一週間くらい鷹塚さんに巻き込まれてお昼ごはんを一緒しているけれど、毎日のようにカロリーメイトで、たまにゼリー飲料をすするときがあるくらい。それ以外の食事をしているところを見たことがないんだよね。
「まあ、別にいいや。鷹塚さんの勝手だし。オレが心配するようなことじゃないよ。変なお節介をして勘違いされたら困っちゃうし」
それに、本当にお腹が減れば勝手にどうにかするだろう。ひょっとしたら、体質のせいであまり食べられないのかもしれないし。
「……昨日のおかず、余っちゃってるんだよなぁ」
オレのお弁当のおかずは、夕食の残り物を流用している。夕食の準備をするときは、お弁当に入れることを想定して少し多めにつくることにしていた。
だから、大喰らいの美月がたまにあまり食べない日があると、おかずを持て余してしまうことがある。
オレは、大きくため息をつき。
「……うーん、捨てちゃうよりはずっといいよね」
背後にある棚を開けることにした。
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