エピローグ


 ヤシマさんが彼女の元へ行くために店を出て行った後、イツキが少しだけ話してくれた。



 ヤシマさんはもう何年もあの彼女に片想いをしていたらしい。



 だからこそ彼女と同じ口調で話し彼女という存在を身近に感じようとしていたらしい。



 その事を“獣神”の一員は全員知っていて、その彼女とヤシマさんの状況を静かに見守っていたらしい。



 彼女には元々彼氏がいたんだそうだ。



 その彼氏は酷い男で、あの彼女は色々と利用されて暴力をも振るわれていて、それを知りながらも何も出来ない状況に、ヤシマさんは随分苦しんでいたと教えてくれた。



 数ヵ月前たった一度だけ“Black Night”が開かなかった事があった。



 年中無休のあの店がある夜CLOSEのままだった。



 その時あの店内にはヤシマさんと彼女の元彼氏だけがいて、その後その元彼氏は姿を消したらしい。



 その元彼氏がどうなったのか、今どこで何をしているのかは誰も知らない。



 ただその時の事をイツキはこう言った。



 あの夜は珍しくこの街に訪れたBlack Nightだったと――…





 Black Night 完

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