第26話ギーガ襲来
食事を終えたガルムは、龍妃に問いかけた。
「分離はどこでできる?ここじゃ無理そうだけど、とりあえず、完全な融合を検討したらどうだ?」
龍妃は少し考え込みながら答える。「確かにここでは難しいわ。でも、完全な融合ならできるかもしれない。」
その時、スレイアが内から声を上げた。「誰がそんなことをするって?こいつと融合なんて、冗談じゃない。」
アエリオンはため息をつき、「スレイアが拒否してるんだ。もう無理みたいだよ。頑固すぎるんだ。」
その時、外から急ぎ足で声が聞こえた。「大変です、龍妃様!」
龍妃はのんびりとした口調で応じた。「またオロチさんかしら?はいはい、行くわよ。」
外に出た龍妃の前に現れたのは、巨大な黒い影だった。龍妃は目を見開き、「ギーガさん?どうしてここに?」と驚きの声を上げた。
ギーガはニヤリと笑い、「随分のんびりしているな、龍妃。あの例の気迫を感じた奴はこいつか?」とガルムを指さした。
「ああ、気迫はガルムだけど」と言うと「見た目は随分小さいないや、見た目だけだな。中身は別か。」と言い直した。
「どうしてここに?」と龍妃が尋ねると、ギーガは無骨な口調で答えた。「あちこち回ってみたが、俺を満足させる相手はいなかった。それでここに戻ってきたんだ。やっぱり、お前らが一番面白そうだからな。」
龍妃は少し微笑んで、「相変わらず野心が強いですね。」と言うと、ギーガは肩をすくめた。「野心じゃねえ、好奇心さ。自分より強いやつを見つけたいだけだ。」
「でもガルムはそこまで強くないわよ。」龍妃が冷静に返すと、ギーガは興味を持ったように言った。「どうかな?あの気迫は、かなりのもんだ。おい、男なら女の後ろに隠れてないで、出てこいよ!」
ガルムはその言葉に反応し、前に出た。「隠れてなんかいないよ。でも…本当に大きいな!」と驚く。
ギーガは微笑んで、「素直に出てきてくれて助かった。ここを壊す所だったぞ。」と言うとガルムは「場所を変えようか?里に迷惑はかけたくないからな。」
「ふん、まあいいだろう。」ギーガは了承し、彼らは里を離れ、広い場所に移動した。
その途中で、アエリオンが内心で呟いた。「そういえば、デバイス…どこ行った?この腕輪を見て思い出したんだが。」
スレイアは冷静に答えた。「さあ、知らないよ。それより、さっさと僕に代わってくれ。」「ああわかったじゃあ交代だ」と言うと。
スレイアは苛立ちをあらわにし、「それもムカつくな…」とリヴァイアサルを取り出し、すぐにデュアルスピアモードに変形させてギーガに斬りかかる。
その攻撃は奇襲のように背後から行われたが、ギーガはまったく動じず、さらに防御もせずにそのまま受けた。
スレイアは何度も斬りつけたが、ギーガはその度に無反応で受け続ける。
「バカにするな!」スレイアは激怒し、水の力で「アクアプリズン」を発動し、さらに「アイスヴァーン」でギーガを凍らせた。
だが、ギーガはまったくダメージを受けた様子もなく、軽く首をかしげながら、「もう終わりか?」と不敵な笑みを浮かべた。
スレイアがさらに斬りつけようとした瞬間、ギーガは片手でリヴァイアサルを払った。次の瞬間、リヴァイアサルが真っ二つに折れた。
スレイアは驚き、焦りの表情を浮かべる。「嘘だろ…リヴァイアサルが…」
それでもスレイアはストームブリンガーを引き抜き、再び斬りかかった。しかし、今度もギーガは防御せずにその一撃を受け、ストームブリンガーまでもが折れてしまった。
「なんだ、脆い剣だな。」ギーガは笑いながら、スレイアに向かって蹴りを放った。スレイアは吹き飛ばされ、地面に叩きつけられたが、それ以上にリヴァイアサルが折れたショックが大きかった。スレイアは「嘘だろ…」とリヴァイアサルが折れたことにショックを受け、ずっと落ち込んでいた。しかし、アエリオンが冷静に声をかけた。「いや、俺のストームブリンガーも折れたんだけど。それに、お前のせいでな。」
スレイアは反論する。「君は使ってないじゃないか!」
アエリオンは呆れたように言った。「使う使わないの問題じゃないだろ。もう戦意喪失してるなら、さっさと代われよ。」
そう言われ、スレイアは仕方なくアエリオンに交代した。すると、目の前にはギーガが立っていた。
「作戦会議は終わったか?」ギーガが皮肉っぽく問いかけ、アエリオンの頭を掴んで持ち上げた。「本当に強いのか、お前?まるで弱いぞ。」
そう言うと、ギーガは軽く数発、アエリオンの腹に拳を入れた。それだけでアエリオンは吐血し、苦しげに息を呑む。ギーガはそのままアエリオンを放り投げた。
「俺をバカにしてるのか?本気を出す気がないなら、このまま終わらせるぞ。どうする?」
アエリオンは立ち上がり、仕方なく「力を解放するしかないか…龍の力を…」と呟いたが、何も変化が起こらなかった。
その時、龍妃がそばに来てアエリオンに声をかけた。「その腕輪を取れば解放されるわ。でも、腕輪を外したら暴走する可能性がある。というか、今の状態だと確実に暴走するでしょうね。」
アエリオンは顔をしかめたが、力を引き出す方法が他にないと悟った。すると、アイリスも駆け寄ってきて、回復魔法を使かった「えっ、アイリス?!」と二人が驚くと。
アイリスは笑顔を浮かべながら答えた。「私も強くなったのよ。二人とも、頑張って!」
スレイアは少し顔を上げ、「僕はリヴァイアサルを折られたあいつが許せない!」と怒りを露わにした。
アエリオンは苦笑しながら答える。「半分お前のせいだけど、俺もストームブリンガーを折られたのは許せないよ。」
二人は互いに一言交わし、黙って立ち上がった。その様子を見ていたギーガが苛立ったように声を上げる。「いい加減、作戦会議はやめたらどうだ?何の役にも立ちやしねぇ。さっさとぶつかってこい!」
ガルムが目を閉じ、内なるスレイアに向かって叫んだ。「今だけでいい、力を貸してくれ!」
スレイアは一瞬の沈黙の後、苛立ちながらも力強く答えた。「言われなくても貸してやるさ。」
その瞬間、ガルムの体内で激しい波動が走り、スレイアとアエリオンの魂が激しく揺れ動いた。二つの魂がぶつかり合い、強烈なエネルギーが体中を駆け巡る。肉体が悲鳴を上げるかのように震え、周囲に青白い光が溢れ出した。
「うおおおお!」ガルムが苦しそうに叫びながら、その体が光に包まれていく。次第に、二つの魂がゆっくりと一つに溶け合い、完全なる融合が始まった。力が収束し、一瞬、世界が静まり返る。
そして、突如として、ガルムの腕輪が一瞬にして弾け飛び、重圧感のあるオーラが爆発的に放たれた。赤黒い光が激しく渦を巻き、足元の地面が割れ、周囲の大気が震えるほどの力が解放される。
「これが…二人の力か…!」ガルムの声が低く唸りを上げる。彼の瞳はまるで炎を宿したかのように燃え上がり、全身から溢れ出す力に大気が揺らぎ、空気が震えている。
ギーガはその光景を見て、初めて表情を強張らせた。「ほぉ…ようやく本気ってわけか。」
周囲の空気が重く沈み込み、ガルムの周りには圧倒的な威圧感が広がっていく。彼の一挙手一投足が、地面に響き、空気を裂くような音を立てる。これまでとは全く違う存在感がそこにあった。「行くぞ、ギーガ!」
ガルムは全身の力を解き放ち、拳を握りしめたまま、猛烈な勢いでギーガに突進した。空気が切り裂かれる音が響き、ガルムの拳がギーガの胸に迫る。風圧が激しく周囲を吹き抜け、衝撃が大地を震わせた。
ギーガは冷静にその一撃を受け止め、まったく動じない様子を見せる。しかし、次の瞬間、ガルムは拳に風の力を纏わせた。鋭い風の刃が渦巻き、拳の一撃にさらなる破壊力を加えた。
「ほぉ、風の力か。」
ギーガは薄笑いを浮かべながらその攻撃を受けたが、今回は少し後退する。その隙をつかんだガルムはさらに連続攻撃を繰り出す。彼は風を操り、驚異的なスピードでギーガの周囲を駆け巡り、次々と拳を叩き込む。
ガルムの右拳に炎が宿った。揺れる火炎が拳を包み、次の一撃は炎の力を帯びてギーガに襲いかかる。「次はこれだ!」
火花を散らす拳がギーガの腕に直撃し、炎が彼の体を包む。ギーガは一瞬、顔をしかめたが、すぐにその表情は不敵な笑みに変わった。
「やるじゃねぇか。」
ギーガは両手でガルムの拳を掴んで止めたが、その瞬間、ガルムの全身に電流が走った。ガルムの体から雷の力が放たれ、その電撃がギーガに襲いかかる。
「雷の力もだ!」
雷撃はギーガの全身に流れ込み、その巨体を貫いた。ギーガはさすがにたじろいだが、何とかその攻撃に耐えた。しかし、ガルムのスピードとパワーは増し続け、ギーガは徐々に防御を固め始める。
「ここまでとはな…」
ギーガは防御の姿勢を取り直した。だがガルムは止まらない。風の力で一瞬で背後に回り込み、炎の拳を振り下ろす。ギーガはギリギリでその一撃を防ぐが、ガルムは雷を纏った蹴りでさらに攻撃を加える。
嵐のような連続攻撃にギーガは次第に押され、何とか防御を続けるものの、ガルムの圧倒的な力とスピードに追い詰められていく。地面が割れ、空気が激しく振動するほどの戦いが繰り広げられていた。
「まだだ!」
ガルムは力をさらに解放し、風、炎、雷の力を一気に集中させた。彼の拳に宿る力が膨れ上がり、赤黒いオーラが渦巻く。その拳がギーガに向かって振り下ろされた。
ギーガは両腕を組んでそれを防ごうとしたが、その衝撃はまるで大地を裂くかのように強烈だった。雷がギーガの腕に落ち、激しい光と共に音が大気を震わせた。ギーガはわずかに後退し、その巨体が一瞬揺らぐ。「なんだ、この程度か。がっかりだ…」ギーガは冷ややかな表情で言い放つと、体を整え、ガルムに向かって突進してきた。
ガルムはその突進を冷静に見据え、両手に力を溜めながら鋭く息を吐いた。「いや、まだだ…」彼の声には力がこもっていた。
「フルパワーで行くぞ、龍撃砲!!」
ガルムの両手から放たれた特大の砲撃が、空気を裂き、ギーガに向かって直撃した。激しい光と共に、砲撃の圧力がギーガを包み込み、地面が轟音と共にひび割れ、大地は粉砕された。爆発音が轟き、衝撃波があたりを吹き飛ばす。
ギーガはその砲撃を全身で受け止め、耐えようとしていたが、力の限界に達し、ついにはその場から吹き飛ばされ、地面にめり込んだ。衝撃で地面には大きな亀裂が走り、煙と瓦礫が周囲に舞い上がる。
「やったか…!」ガルムは息を切らしながら勝利を確信し、アイリスも喜びの声を上げた。「ガルムくん、やったね!」
だが、その時、龍妃が冷静な声で言った。「油断しないで、まだ終わっていないわ。」
煙の中からゆっくりと人影が浮かび上がる。その姿はギーガ。しかも片腕には、ガルムが放った龍撃砲のエネルギーの球を掴んでいた。ギーガは無傷のように見え、その眼には鋭い光が宿っていた。
「今のがお前の限界か?がっかりだな。」ギーガはそう言い放つと、不敵な笑みを浮かべて続けた。「おい、お前。殴られるのと蹴られるの、どっちがいい?」
ガルムは冷たい視線でギーガを睨みつけ、「さあね、殴れば?」と軽く挑発した。
「そうか、わかった。」ギーガは頷くと、龍撃砲の球を手にし、それを思いっきり蹴り飛ばした。
次の瞬間、その球がガルムに命中。強烈な爆発が起こり、ガルムは大きく吹き飛ばされた。「うわあああぁ!」ガルムの叫び声が響く中、爆発の衝撃がさらに広がった。
アイリスもその爆発に巻き込まれ、ローブがさらにボロボロになり、体が宙に舞った。龍妃もガードはしていたが、防ぎきれず、衝撃で怪我を負った。ガルムはギーガからの砲撃をまともに受け、融合が解けてしまった。体中はボロボロで、血が流れ出し、その姿は側から見ればまさに瀕死の状態だった。痛みも感覚も麻痺しており、彼はぼんやりと考えた。
「…痛みというか、もう感覚がない…」ガルムは心の中でスレイアに問いかける。「スレイア、大丈夫か?」
「うるさい。お前がメインなんだから、わかるだろ?僕は痛みすら感じないんだよ…」スレイアの声には、無力感がにじんでいた。
その時、アイリスが「痛った〜い!」と呻きながら起き上がった。彼女のローブはすでにボロボロで、アイリスはため息をつきながらその場でローブを脱ぎ捨てた。白い半袖シャツにミニスカート、短パンという格好が露わになると、彼女はガルムのもとへ駆け寄っていく。
「もう、こんなにボロボロか…」アイリスはそう呟きながらも、ガルムを気にかけていた。
アエリオンの内なる声が、ドキッとした。「うわ〜、アイリスがローブを脱いで肌を露出してる…ドキドキするな…でも、ケガしてるじゃないか…無理するなよ…」
アエリオンが心配する中、ギーガが不意にアイリスに目を向けた。「お嬢ちゃん、あんまり回復とかちょこまか動かれると迷惑なんだよ。」
そう言うと、ギーガはアイリスの腹部に軽く拳を当て、一撃で気絶させた。アイリスはその場に崩れ落ちる。
「これ以上は行かせない!」龍妃がギーガの前に立ちふさがり、威圧的に宣言する。しかしギーガは冷静な表情のまま、右拳を龍妃の腹部に叩き込み、続けて顎に右足を蹴り上げた。龍妃は浮かび上がり、そのままギーガに頭を掴まれると、無情にも後方へ投げ飛ばされた。
そしてギーガはガルムにゆっくりと近づき、無力な彼の頭を掴んだ。そのまま左手で無数のパンチを浴びせ続け、ガルムの体はもはや反撃することもできず、ただ伸びきったままだった。
「もう終いだな…」ギーガは少し笑いながら、ガルムにとどめを刺そうと拳を振り上げたその時、突然、上空から強大な雷が降り注いだ。
ギーガはその雷をまともに受け、その場で気を失った。雷の閃光が消えると、静寂が訪れた。
「あら〜、大丈夫ですか〜?」どこからか声が響いたが、ガルムにはそれを確認する余力すら残されていなかった。視界はぼやけ、体は動かず、意識が薄れていく中でその声だけが遠く聞こえた。
龍妃もその様子を見て驚いた。「なんか頼もしい人たちね…。まさか、こんな展開になるなんて。」「ちょっと、あんな強大な雷落としたらガルムにも当たるじゃない!」ルリがヴィスティーに鋭くツッコんだ。
「あら〜?でも当たってないわよ〜。」ヴィスティーはニヤリと笑いながら答えた。
「大丈夫、私が回復するにゃ。」ララがそう言って、ガルムに向かおうとする。
「ちょっと、ララ~?猫になってるよ!」ルリがすかさず指摘した。
「ごめんね、気をつけるにゃ…あっ!」ララは言い直そうとしたが、また同じ猫の語尾で言ってしまう。
「もういいわよ…」ルリは諦めたようにため息をつき、ララがガルムの元へ行くのを見守った。
ララはガルムに癒しの波動を送り込んで回復を試みた。しかし、手応えがほとんどない。彼女は眉をひそめ、「おかしいな…全然回復しない。傷が深いのかな?」と心配そうに呟いた。
次に、ララはアイリスの元に行き、回復の魔法を使う。しばらくすると、アイリスが目を覚まし、「あー、ララちゃんありがとう〜。」と感謝の言葉を口にした。
「あら〜、目が覚めて良かったわ〜。」ヴィスティーは笑いながら言った。
しかし、アイリスは疑問の表情を浮かべる。「でも…どうしてみんながここにいるの?」
その疑問に答えるように、ルリが話し始めた。「あんたと別れたあと、ガイドのところに行ったら、冒険ギルドも置けないような世界に行ったまま戻ってこないって言うからさ。パーティ登録もしてたから、ちょっと様子見に行こうって思ったら、あら〜、私たちも行きますよ〜ってヴィスティーたちも付いてきたのよ。」
その話の途中で、ギーガが突然目を覚ました。苦しげに顔をしかめ、「痛いな…今のは…覚悟はできてるよな?」と低い声で呟くと、立ち上がろうとする。
「誰がやったかは知らねぇが…」とギーガが言いかけた瞬間、腕に激痛が走り、ギーガは動けなくなった。
「悪いけど、動かないで。」ルリは集中しながら、冷静にギーガに言い放つ。龍妃もその様子を見て驚いた。「なんか頼もしい人たちね…。まさか、こんな展開になるなんて。」
その時、オロチが駆けつけ、「あら〜?どういう状況?ギーガが押されてんじゃん、珍しいね。」と軽く笑いながら言った。
「今まではずっと俺が押してたんだがな…」ギーガは苦笑しながら答えた。
「そうなの、大変ね。」オロチは軽く頷くと、無表情のまま首元にナイフを突き刺し、ギーガの腕を掴んでそのまま後方に投げ飛ばした。
だが、ギーガはすぐに立ち上がり、殴りかかってきた。しかしルリはすかさず、「もう一度言うよ。少しでも動いたら、また腕を壊すよ。」と微笑みながら忠告した。ヴィスティーも光魔法の準備をしララも癒しの波動で全体を包み続ける。
ギーガはそれでも無視してガルムに近づき、最後の一撃を放とうとした。
その時、ようやくガルムが意識を取り戻し、ゆっくりと立ち上がった。「なんだ…みんな来てくれてたんだな。ありがとう…」と息を整えながら言った。
ギーガがそれを見て、にやりと笑った。「お前、まだ戦えるなら、一騎打ちをしないか?女たちの陰に隠れる男じゃつまらんからな!」
ガルムは疲れ切った体を引きずりながらギーガに歩み寄り、「もうそんな力残ってないよ…」と言いつつも、ギーガの元にゆっくりと向かっていく。
ギーガは満足げに言った。「良い心掛けだ。俺に一発でも当てられたら、お前の勝ちだ。さあ、来い!」そう言って構えたが、ガルムは限界を迎え、構えたまま前に倒れ込んでしまった。
その姿を見て、ギーガは一瞬黙り、周囲を見渡しながら言った。「オロチでも、龍妃でも、そこにいる奴らでも良い。こいつに伝えておけ。今日の戦いは、正直言ってつまらなかった。次こそは仲間の力を借りず、一騎打ちをしよう。ただ、すぐにやってもつまらんからな。三年待ってやる。」
ギーガは低い声で続けた。「三年で俺を超えてみろ。できなければ、世界を滅ぼす。来なくても滅ぼす。忘れるなよ、約束だからな。」そう言うと、ギーガは姿を消した。
その場に残された仲間たちは、緊張感から解放されつつも、ギーガの言葉の重さを感じていた。龍妃は皆を見渡し、「とりあえず、皆さん、里の中へ案内します」と促した。
アイリスはガルムを見ながら、「ガルムくん…」と言って彼を担ごうとしたが、力が足りず持ち上げられなかった。オロチがそれを見て、軽くため息をつきながら言った。「私が担ぐよ。さあ、里の中に入ってください。」そう言って、オロチはガルムを軽々と担ぎ上げ、里の中へと進んでいった。
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