第25話新たな脅威
アイリスは驚いた様子で龍妃を見つめた。「もしかして、担いでるのって…え?ガルムくんですか!すごい、修行したんですね?」
龍妃は少しため息をつきながら、「修行というか、色々とありまして…」と答え、深刻そうな顔を浮かべた。「ちょっと気を失っていますが、とりあえず里の中にどうぞ。」
「はい、お邪魔します!」アイリスは龍妃たちの後を追いながら、ガルムのことが心配でたまらない様子だった。
里の奥にある、前にガルムが休んだ部屋に着くと、龍妃はガルムを寝かせ、アイリスに向き直った。
「結論から言うと、ガルムはかなり強くなっています。龍の肉体とも上手く馴染んでいて、特に副作用は見られません。ただ…」龍妃は一瞬言葉を止めた。
「ただ?」アイリスが不安げに尋ねると、龍妃は重い口調で続けた。「試練の最中に、オロチさんが介入してきて…彼に呪われた血を飲ませてしまったんです。」
「え?オロチの血を?!」アイリスは驚き、ガルムの顔を心配そうに見つめた。龍妃はそのまま続けた。「本来なら、彼はそのまま命を落とすはずでした。でも、龍の肉体のおかげで助かり、凄まじい生命力で回復しました。ただ、力の制御ができずに…大切な仲間の天龍さんを瀕死の状態に追い込んでしまいました。それに、私にも牙を向けたんです。」
「牙を向けた…?」アイリスは、ガルムの頭を優しく撫でながら言葉を失った。龍妃はアイリスのリアクションに気づき、少し笑みを浮かべながら言った。
「その後、オロチさんも合流して、かなり危険な状況になりましたが、このままではまずいと判断して、腕輪を使って彼の力を抑えることにしました。」
アイリスは「なんか、すみません…」と小声で謝りながらも、ガルムの顔を心配そうに見守り続けた。それを見た龍妃は微笑みを浮かべ、「本当に心配なんですね」とようやく和らいだ表情で言った。アイリスの涙ぐむシーンも自然で、彼女がガルムや周りの人たちに対して抱えている複雑な気持ちがうまく表現されている。特に、みんなが知っていることを彼女が知らされていなかったことに対する戸惑いや寂しさがよく伝わってくるよ。
では、このアイデアをもとに、シーンを書いてみるね。
アイリスは、ガルムを心配そうに見つめながら、龍妃に問いかけた。「ガルムくんの状態は、どうなんでしょうか…?」
龍妃は静かに頷き、「時期に目を覚ますでしょう。ただ…彼が目を覚ましたら、完全な魂の融合をするべきです」と言った。
「融合…?」アイリスは首をかしげながら、戸惑いの表情を浮かべた。
龍妃は説明を続けた。「今の彼の状態は不完全な融合に過ぎません。それでは暴走を招くだけ。強大な力を使いこなすには、アエリオンとスレイアの魂が完全に一つになる必要があるんです。そして…そのためには、二人の和解が不可欠です。」
アイリスは一瞬、何か言いかけたが、その言葉を飲み込んだ。しばらくの沈黙の後、彼女は目を伏せ、少し涙ぐんだ。「やっぱり、みんなガルムくんの中に二人いるって知ってたんですね…。でも、私は何も知らされていない。誰も教えてくれなかった…。」
アイリスの声が震え、龍妃はその姿をじっと見つめた。「アイリスさん…」
「私だって、ガルムくんのことをもっと知りたかったのに…どうして?」アイリスは、ガルムの顔を見つめながら、涙を拭おうとするも、その感情は抑えきれなかった。「別に、私も名前は聞いてないんです。本人にも言われていませんよ。ただ…一目見た時から、何かあるとは感じていましたし、継承の儀でハッキリと名前がわかっただけです。」龍妃は静かにアイリスに語りかけた。「彼もきっと、変に思われたくなくて言わなかったんだと思います。」
アイリスは涙を浮かべながら、「でも…ルリさんやララさんは、知ってたんですよ。どうして私だけ…」と声を震わせて言った。
龍妃は、アイリスを見つめながら優しく微笑んだ。「その方たちも、何か特別な能力があるんじゃないですか?直接彼から聞いたわけじゃないと思いますよ。」
アイリスは、涙を拭いながらも、納得できないような表情を浮かべていたが、龍妃はその肩に手を置き、「とりあえず、今日はゆっくり休んでください。何かあれば、部屋の前に龍菜がいますから、声をかけてくださいね」と優しく声をかけた。
龍妃は少し冗談っぽく、「あと、くれぐれも…変なことはしないように」と笑顔で付け加えた。
アイリスは顔を真っ赤にし、慌てて「しません!」と恥ずかしそうに言い返し、龍妃は微笑みながら部屋を出て行った。「ガルムくんって…なんなの、バカ…」アイリスはそう呟くと、疲れた様子でガルムの隣に横たわり、そのまま眠りについた。
その頃、オロチは森の中を歩きながら、ぼやくように口を開いた。「龍妃も私が協力してあげたんだから、龍の里でお礼でもしてくれたらいいのに…別に皆殺しにするつもりもないし。」
森を歩くオロチの前方に、黒い大きな影が見えた。「ん?」オロチは眉をひそめたが、その瞬間、森の木々がバタバタと倒れていく。辺り一面が倒木で埋め尽くされ、その中心に立っているのは、2メートルを超える大男だった。全身黒ずくめで、威圧的な存在感を放つ男が立っていた。
「まさか…ギーガ?」オロチが驚くと、その男はニヤリと笑った。「久しぶりだな、オロチ。相変わらずもったいないな。」
「もったいない?」オロチは少し不機嫌そうに聞き返した。
「いや、お淑やかなら嫁に欲しいほどの美人なのに、と思ってさ。」
「別にもらわれたくないけど?それより、今さら何しに来たの?強くなるためにどこかに行ったんじゃなかった?」
「そうだ、行ってきたさ。でも、どこも期待外れでな。まともに相手になる奴がいなくて、退屈だったよ。やっぱりここで、お前たちの力が戻るのを待っていた方が良かったみたいだな。それに…とんでもない気迫を感じたから、様子を見に来たんだが…どういうことだ?」
オロチは肩をすくめ、「多分、ガルムのことね。もう少し早く来てくれればよかったのに。二人がかりでやっと抑えたんだから。」
ギーガは目を光らせた。「オロチを倒せるほど強い奴がいるのか?それは、ぜひ会ってみたいもんだ。」
「一応言っとくけど、負けてないからね。それに、あんたが来てたら、ガルムは殺されてたかも。別に龍妃も私も殺す気はないしね」と見上げて言うと、「今、どこにいるんだ?」ギーガは鋭い目つきでオロチに尋ねた。
オロチは少し眉をひそめながらも答える。「今は深い眠りについているわ。ちゃんと起きたら会わせるから、どこかで待ってたらどう?」
ギーガは肩をすくめ、「じゃあ少し休んで、腹ごしらえでもしておくか。」そう言って、森の中に消えていった。
オロチは小さくため息をつき、「さて、里に行ってみるか。ガルムも心配だし…」とつぶやきながら、里に向かって歩き出した。
里の前で、オロチがウロウロしていると、龍妃が出てきて嫌味っぽく言った。「もう少し隠れるとかできないの?」
「ガルムは大丈夫?」オロチは少し気まずそうに尋ねた。
「はい?大丈夫ですけど、どうして?」
「いやここにいたら龍妃に殺されるかと思って?」オロチが少しふざけた様子で聞くと、龍妃は軽く笑った。「あのぐらいしないと、こっちもまずかったんですよ。」
オロチは一瞬表情を曇らせ、「それはそうかもね。でも、ギーガが戻ってきた…しかも、ガルムのこともわかってるみたい。ギーガは本気で倒すつもりだから、上手く匿ってほしいのよ。」
龍妃は驚いた顔をしながらも、「ギーガさんが戻ってきたのも驚きですが、オロチさんがそんなお願いをするなんてもっと驚きです。でも、お願いされなくても、ここにいる限りは守りますから大丈夫ですよ。」
「そう…じゃあ、頼んだわね。」オロチは静かに立ち去った。
「本当に…なんなの?」龍妃は小声でつぶやきながら、里の中に戻っていった。
その頃、ガルムは目を覚ました。柔らかい感触に包まれ、何かをムニムニと触って感触を楽しんでいた。「ん?…何か柔らかい…」
目を開けると、そこにはアイリスの胸が。しばらく揉んでいたがガルムは慌てて手を離し、「うわ!やばい…」と慌てて飛びのいた。
アイリスも少し赤くなりながら、「はぁ…んっ…」と、少し感じた声を出していた。アイリスは目を覚ますと、胸のあたりに違和感を感じた。「あれ…?胸のところが少しはだけてる…」と気付き、顔を赤らめながらガルムに声をかけた。「あっ、ガルムくん!おはよう、起きたんですね。調子は大丈夫?」
ガルムはドキッとしながらも冷静を装い、「ああ…大丈夫だ。それにしても、久しぶりだな。何か変わったことはないか?」と聞いた。内心では揉んでいたことがバレていないか不安で仕方なかった。
アイリスは少し考えて、「え?私はなんともないよ?ちょっと服が乱れてたから直してただけ。もしかして、何かした?」と疑問を投げかける。
ガルムは焦って、「いや!何もしてない!何も…」と必死に否定した。
その一方、体内ではアエリオンとスレイアが会話を交わしていた。
「まさか、アイリスが戻ってたとはな…」
「おい、ガルム…彼女の胸を触ったのか?さすがにそれはまずいぞ…」
アエリオンは曖昧な記憶を辿りながら、「いや、もしかして触ったかもしれないけど…よく覚えてないんだ」とぼんやり答える。
その時、アイリスが立ち上がり、「ガルムくん、お腹空いてない?今、龍菜さんに頼んでくるね」と言い、部屋を出ていった。
ガルムはホッとしつつも、「ここが龍の里だってのは分かるが、他のことがまだ曖昧だな…」と呟いた。
すると、龍妃が部屋に入ってきた。「ガルム、大丈夫そうね?」と尋ねる。
ガルムは「今は何ともない」と答えたが、龍妃は微笑みながら「そう?あんなに痛めつけたのに、大丈夫なんて驚いたわ」と言った。
「痛めつけた…?」ガルムは驚きながら問い返す。
龍妃は軽く笑い、「あなたが暴走したから、力を制御するために手荒なことをしたの。制御には、あなたたち二人の完全な融合が必要だったのよ」と説明した。
アエリオンは心の中で、「なるほど…一時的に力が合わさっていたが、不安定だったから暴走したんだ」と納得し、スレイアも「もし完全に融合できれば、交代せずに済むが、主導権はどうする?」と疑問を投げかけた。
その時、アイリスが部屋に戻り、怒りをあらわにして言った。「どうして私には何も言ってくれないの?ずっと一緒に冒険してきたのに!」
ガルムは焦りながら、「いや、信じられるか?突然、『俺は20歳過ぎてて、ガルムは死んでいて、今は中に二つの魂が入っている』なんて言ったら、君に変に思われるだろ?」と弁解した。
スレイアは冷静に、「もう少し言い方があったんじゃないのか?」と指摘し、アエリオンも「だが、いずれ話さなければいけなかったことだ」と考えていた。
ガルムは、アエリオンとスレイアがそれぞれ異なる星の王子であり、ずっと戦争していた事戦闘中に姫が次元の歪みに落ちて慌てて追いかけた所突風でスレイアを巻き込んで次元の歪みに落ちた事そのまま勢いよくガルムの体に宿ったこと。そして、ガルムが本来は既に亡くなっていること姫も異世界に来てるだろうから探してる事をアイリスに説明した。
アイリスはそれを聞いて、涙を浮かべながら、「そんなことがあったんだね…でも、変に思われたくなくて黙ってたんだよね?」と優しく言った。
ガルムは、「そうだ。君のことを大切に思っていたから、どうしても言い出せなかった。ごめん」と謝罪した。
龍妃も驚きながら、「それほど壮絶な過去を背負ってきたなんて、意外だわ…」と呟いた。
アイリスは少し嫉妬を感じながら、「姫を探しているんでしょ?でも、私のこともちゃんと見てほしい」と訴えるように言った。
ガルムは「もちろんだ。アエリオンは姫を探しているけど、ガルムとしては君のこともちゃんと見ているよ」と答えた。
龍妃は微笑んで、「素直で可愛いわね」と軽く笑った。
その時、龍菜が豪華な食事を持って部屋に入ってきて、「お待たせしました!」とテーブルに料理を並べた。龍妃も驚き、「かなり豪勢ね。どうして?」と尋ねると、龍菜は「これからさらに大変なことが起こりそうですから…」と答えた。龍妃は「そうですか、では皆さん食べてくださいね」と言うと一緒に食べ始めた。
アエリオン、スレイアは内心で「お前も食べるんかい…」と感じつつ、黙って食事を始めた。ガルムはふと、龍菜が言っていた「大変なことになる」という言葉を思い出し、尋ねた。「さっき大変なことになるって言ってたけど、それって何があるんだ?」
アイリスもガルムの横にちょこんと座り、話を聞こうとする。龍菜は少し困った顔をしながら、「今、オロチさんが里にいたんですけど、なぜか今回は大丈夫でした。でも、ガルムくんの気迫が原因で、ギーガというとんでもない存在をこの地に呼び戻してしまったんです」と説明した。
「ギーガ?それって、オロチよりも厄介な奴なのか?」とガルムが驚いて聞く。
龍菜は真剣な表情で、「はい。今のガルムくんが、究極の生命体に近づいているとしても、完全な融合ができたとしても、ギーガには勝てないと思います」と言った。
ガルムは少し肩を落としながら、「え?今、融合しようと思ってるのに、そんなこと言われたら凹むな…」と弱々しく返す。
それを聞いたアイリスは、ガルムを励ますように言った。「大丈夫だよ、ガルムくんなら絶対に勝てるよ!」
しかし、龍妃は険しい顔を崩さず、「出来れば、この世界から出て行ってほしい。アイリスさんが一時的にいなくなったでしょ?それと同じように、あなたもギーガに会う前に逃げた方が良いわ」と冷たく言い放った。
「逃げるわけにはいかないけど…」とガルムが言うと、龍妃はさらに冷たい口調で、「本当に理解していないのね」とつぶやいた。
そして話題を変え、「それより一つ聞きたいのだけど、あなたたち二人(アエリオンとスレイア)の間に、何か遺恨や不仲な感じはある?」と尋ねた。
アエリオンは考え込んで、「多分、ないと思うけど…」と答えたが、スレイアはすぐに反論した。「本当にそうか?そもそも今の状況で、君が主体で僕がおまけになってるのはおかしいだろ。まだガルムが動かしているなら納得できるが、何で君なんだ?」と怒りをぶつけた。
アエリオンは戸惑い、「いや、それは分からないけど…」と返すが、スレイアはさらに苛立ちながら、「言っとくけど、僕は君よりも弱いわけじゃない。むしろ、秀でた部分も多いのに、どうして君が主体になってるんだ!」と続けた。
外から見れば、ガルムはぶつぶつ独り言を言っているように見えるが、龍妃はその状況を見守り、何が起きているか理解しているようだった。一方、アイリスはこのやり取りを何度も見ているはずだが、改めて「これが二人の会話なんだ」と新鮮な気持ちで眺めていた。
龍妃は、「遺恨がありそうね、特にスレイアの方に」とつぶやきながら、「もう融合は諦めて、分離した方がいいんじゃない?」と提案した。
スレイアはそれにすぐ反応し、「それもいいかもな。お互い干渉し合わずに済むし」と言った。アエリオンも「それができるんなら、それでいいかもしれない」と答えた。
新規登録で充実の読書を
- マイページ
- 読書の状況から作品を自動で分類して簡単に管理できる
- 小説の未読話数がひと目でわかり前回の続きから読める
- フォローしたユーザーの活動を追える
- 通知
- 小説の更新や作者の新作の情報を受け取れる
- 閲覧履歴
- 以前読んだ小説が一覧で見つけやすい
アカウントをお持ちの方はログイン
ビューワー設定
文字サイズ
背景色
フォント
組み方向
機能をオンにすると、画面の下部をタップする度に自動的にスクロールして読み進められます。
応援すると応援コメントも書けます