第14話火山へ
冒険者ギルドのざわめきの中、ガルムたちは掲示板に張り出された緊急クエストを見つけた。「ヴァルクアに狙われているフェニックスを助け、羽を手に入れろ」。その文面が、ガルムの目に止まる。
「みんな、これだ。フェニックスを助けに火山に行くぞ!」ガルムが力強く言い、クエストを受注した。ルリが一瞬、眉をひそめ「それは誰の意見?」と問いかける。
「え?俺のだけど」とガルムが答えると、ルリは納得したように頷く。「反対意見がなければ、そのクエストでいいよ」と微笑んだ。ララとヴィスティーにも確認すると、ヴィスティーは「私は大丈夫です」と微笑み、ララは「私も問題ありません。行きましょう」と明るく返した。
一行が火山に向けて出発する準備を整え、険しい山道を歩いていると、アエリオンが「やっぱりヴァルクアに見られてないか?」と警戒し、周囲を見回す。ルリは少し考え込んだあと、「その可能性は十分にある」と言い、慎重に進むことに決めた。
火山のふもとに差し掛かると、他の冒険者たちがヴァルクアらしき敵と激しく戦っているのが見えた。鋭い剣戟と、魔法の光が散り交う中、彼らは苦戦していた。
「加勢するか!」ガルムが叫び、すかさずソニックブレイクを放つ。風の轟音とともに、ヴァルクアの一団が吹き飛ばされた。しかし敵の数は多く、どこまでも押し寄せてくる。ルリが目にも留まらぬ速さで敵に接近し、次々と斬り伏せていった。
「ルリ、すごいな…」とアエリオンとスレイアが感心するが、ルリはは「勘違いしないで、ララも強いのよ」とフォローを入れた。ララはニコリと微笑みながら、「いえいえやっぱり頼もしいですね、ルリさん」と褒め言葉を返す。
険しい道を進んでいるうちに、突然、ヴァルクアの別動隊が前に立ち塞がる。彼らは黒い鎧に身を包み、周囲の空気が緊張に満ちる。だが、ガルムは一歩も引かず、冷静に状況を見極めた。「行くぞ!」と短く叫び、剣を抜いた。
ヴァルクアが一斉に襲いかかるが、ガルムは一撃で敵を吹き飛ばした。「もう通さないぞ!」と叫ぶヴァルクアに対して、ガルムは笑みを浮かべながら、「そう簡単にいくと思うな」と返し、次々に敵を切り倒していく。
「なんか暑いですね」とアイリスが、火山の厳しい熱気に汗を拭う。ルリは冗談めかして「そりゃ火山だからね」と軽く笑い返し、一行は山頂へと進んでいった。
しかし、その道の先には、さらに強力なヴァルクアの本隊が待ち構えていた。空には黒い雲が立ち込め、風が一気に強くなる。彼らの鋭い眼差しがガルムたちを捉えた瞬間、空気がピリピリと張り詰めた。
「本隊か…厄介だな」とガルムが呟くと、ヴァルクアの隊長が剣を構え、静かに一歩前に出る。彼の目には、冷徹な決意が宿っていた。「全力でかかってこい!」とガルムが叫ぶと、仲間たちも武器を構え、激しい戦いの幕が上がった。「別に引いてくれれば戦う必要はないぞ。」ヴァイスは余裕たっぷりに続けた。「一応名乗ってやろう、ヴァルクア第9番隊隊長ヴァイスだ。まあ、部隊が一桁の場合、争わない方がいいとは思うが…どうする?」
その余裕の態度にイラッとしつつも、ガルムは冷静に「こっちもクエストを達成しないといけないんでね。引く気はないよ。俺はガルムだ。見た目に惑わされるなよ」と返す。
「そうか、ありがとう。おかげで惑わされずに済みそうだ」とヴァイスが不敵に微笑みながら、瞬時にビームガンを取り出し、一気に発射した。光の連射が迫る中、ガルムは素早くスレイアと交代し、反撃の構えを取る。
ガルムたちは何とか避けたが、アイリスが少し被弾してしまう。「大丈夫です、すぐに回復しますね」とララが優しく声をかけ、回復を開始した。
「ちょっとみんな、少し離れてて!」とヴィスティーが叫び、「ゴッドライジング!」と強力な雷を放つ。稲妻が轟き、隊員たちを貫き、ヴァイスにもダメージを与えた。
「ほぅ、なかなかの技だな…だが、まだまだ弱いな」とヴァイスが笑みを浮かべ、風の力で加速し、一気にヴィスティーを斬りかかろうとした。だが、その瞬間、スレイアに代わったガルムが剣を構え、ヴァイスの攻撃を受け止めた。
「お前、その速さについてこれるのか?」ヴァイスが驚きながら問いかける。「一応こっちも速さには自信があるんでね」とガルムが応じる。
ヴァイスは再びビームガンを構え、ガルムへと発射するが、ガルムはすばやく回避し、ヴァイスが斬りかかろうとする瞬間に剣で防いだ。「アクアヴォルテックス!」ガルムは水の渦を放つが、ヴァイスはそれを素早く剣で防ぎ、ビームガンで反撃してきた。
「ちっ、決めきれない…」ガルムが焦りを感じ始めた時、ヴァイスが余裕の笑みを浮かべながら言った。「この俺とここまで渡り合えるとは、大したものだ。だが、俺も力を見せてやるか…」彼の体から風の渦が巻き起こり、辺り一帯を吹き荒らした。
「いや、まずいな…警戒しろよ」アエリオンが風の力の強さを感じ取りスレイアに警告をする。「そうだな、こっちの水属性じゃ至近距離で防ぐのが限界だ。普通に強い…アッシュといい勝負かもな」とスレイアが警戒を強めた。
その時、ルリが一歩前に出て冷静に言った。「何、一人で戦ってる気になってるの?力を合わせればいいじゃん」と言いながら集中すると、彼女の力でヴァイスのビームガンが一瞬で砕け散った。
「え?今のどうやったんだ?」とガルムが驚く。
「私の能力だけど?」とルリがあっさり答える。
「一体いくつ能力を持ってるんだ?」とガルムが驚きの表情を見せる。
「能力はこれだけよ、あとは生きるために鍛えただけ」とルリが軽く答える。
「すごい能力者がいるもんだな…だが、ビームガンがなくても、風の力さえあれば問題ないんだ」とヴァイスは風の渦をさらに強化し、笑いながら言い放った。
ルリは微笑み、「挨拶しただけなのに」と余裕のある態度を見せた。ヴァイスは冷静な笑みを浮かべ、「いいパーティじゃないか。だが、この一撃は防げんぞ」と挑発的に言い放つと、一気に風力を上げた。風の渦がさらに勢いを増し、周囲の空気が唸りを上げる。
「グランドエアロトーネード!」ヴァイスが叫ぶと、巨大な風の渦がガルムたちを包み込み、嵐のような力が辺りを蹂躙する。木々は引き裂かれ、岩が砕け、風の暴力的な力が一気に押し寄せる。
「ぐっ…!」ガルムは風の切れ味に押され、体中に無数の切り傷が刻まれ、出血が止まらない。「くそ…強烈だな…!」ガルムが苦しみながら呟く。
ララ、ルリ、そしてアイリスは、ララの「癒しの波動」の中で無事だった。風の暴力的な攻撃も、その結界を破ることはできなかった。「なに?これってスカートを捲るための技?」ルリは余裕の表情で小さく笑い、アイリスもクスリと笑みを浮かべる。
しかし、ヴィスティーは真正面から「グランドエアロトーネード」をまともに受けていた。風の刃が彼女の体を切り裂くが、驚くべきことに、ヴィスティーはその傷を自然治癒で次々と癒していた。「まだまだ…こんなものじゃ終わらないわ…」と、彼女は地に足を踏ん張りながら力を溜め込む。
「ほぅ…耐えられるとはな」とヴァイスが驚いた声を漏らす間もなく、ヴィスティーは蓄えた力を一気に解放し、ヴァイスに向かって突進した。「今度はこちらの番よ!ゴッドライジングフォース!」ヴィスティーの瞳が鋭く光り、電撃のようなオーラが体を包む。彼女の攻撃はまさに嵐のようにヴァイスへと向かう。
ヴァイスもすぐに反応し、剣を構えてその攻撃に対抗しようとするが、ヴィスティーの力が予想以上に強力で、一瞬、態勢を崩される。「ぐぅ…」と呻き声を漏らしながらも、彼は何とか体勢を立て直し、再び戦いの準備を整えた。
周囲には風の残骸が散乱し、大気はまだ戦いの余韻で震えていた。風が収まると共に、戦場は一瞬静寂に包まれたが、その空気を切り裂くように、ガルムたちは次なる一手を練っていた。まだまだこんなものではないぞそろそろ本気を出してやろうと、さらに風を強化しガルム達に襲い掛かろうとしているしかしその風に反応したのか、火山も地響きが鳴り響いていた。
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