第11話決戦空島
巨人が暴れ回り、空島の地面は次々と崩れ落ちていた。遺跡全体が激しく揺れ、崩壊寸前だった。アイリスは焦った声で叫ぶ。
「このままでは、この遺跡も空島も崩壊してしまいます!」
アエリオンは地面の崩落を見つめながら苦々しく答える。「分かってる。でも、あの巨人をどうにかしない限り、どっちみち崩壊する。」
スレイアは巨人のコアに目を向けながら冷静に言った。「コアさえ出せれば、壊すチャンスはあるんだが…。」
その時、空賊のリーダーが声を張り上げた。「あの巨人は大地の巨人だ!風の加護石で封印されていたが、今はその力が解放されている。加護石をもう一度巨人に近づければ、必ず力は弱まる。その隙に必殺砲を撃つから、ヴァルクアを引き受けてくれ!奴を倒して石を取り戻せば、この崩壊を食い止められる!」
ガルムはリーダーの言葉に頷き、決意を固めた。「分かった。すべてが終わったら、加護石はお前たちに渡す。」
空賊のリーダーは険しい顔で応じた。「そんなことは後でいい!今は急げ!」
スレイアがアエリオンに声をかける。「アエリオン、行けるか?」
アエリオンは軽く笑って答えた。「こういう時は、俺の方が有利だ。」
スレイアは少し冗談めかして言った。「最近、強敵相手はお前ばっかりだな。」
アエリオンは微笑みつつ、決意を固めた。「俺がやれることはやる。一緒に乗り切ろう。」
スレイアは静かに頷き、彼を見守る。
「よし、行くぞ!」アエリオンは空賊の船に乗り込む。船長が険しい顔で声をかける。「この船でヴァルクアの船に突っ込むが、向こうの攻撃は激しいぞ!」
「問題ないさ。全部斬り落としてやる!」アエリオンは剣を構え、ヴァルクアの船に向かって飛び出していった。
一方、アイリスは自分が役に立てないことに悔しさを感じていたが、今できることをしようと決意する。必殺砲のチャージに集中し、できるだけの準備を整えていた。
巨人はますます荒れ狂い、空島の沈下も加速している。アエリオンは船に乗り込み、ヴァルクアの兵士たちとの戦闘を繰り広げていた。空賊たちは必殺砲のチャージを進め、決戦の瞬間に備えている。アエリオンは、風を感じながら次々とヴァルクアの船を乗り継いでいた。コアを斬るたびに、ヴァルクアの船は崩壊し、下に沈んでいく。しかし、アエリオンが次の船に飛び移るその瞬間、敵の砲撃が襲いかかる。スピードを上げて、その砲撃を軽くかわし、また別の船に飛び乗った。
「うまくいってる…!」アエリオンが心の中で叫ぶが、次の瞬間、巨大な船が彼の視界に飛び込んできた。以前のヴァルクアの船よりもはるかに大きい、まさにリーダー機と呼べる船。その威圧的な存在感に、彼は確信した。「加護石はあそこだ…!」
彼が飛び込もうとしたその瞬間、巨人の腕が空を切り裂き、船に激しいビームが降り注ぎ始めた。巨人が必死にアエリオンの進行を阻もうとしている。
「くそっ…近づくのは無理か!」アエリオンは眉をしかめ、周囲を見渡した。次々とビームが炸裂し、船が揺れる中、スレイアの声が響いた。
「あいつ、必死なんだよ。石を持ち込まれたら、また封印されるかもしれないからな…」スレイアは冷静に分析しながら続けた。「でも、ここまで来て悪いけど、僕に交代してくれないか?」
「え?本当に行けるのか?」
スレイアはアエリオンに視線を向け、力強く頷いた。「大丈夫だ。お前が信じてくれるなら、俺も全力を出す。あの船に乗り込むためには、シールドを張って突っ込むしかない。」
アエリオンはしばし迷うが、すぐに決意を固める。「わかった。任せたぞ、スレイア。」
「ありがとう。見ててくれ!」スレイアは水の力を全身に集め、シールドを作り出す。青く輝く防御の力が彼を包み込み、巨大な巨人のビームもその盾を弾き返す。
「行け、スレイア!」アエリオンが声をかけると、スレイアは一気にエアシューズを起動し、目にも止まらぬ速さでリーダー機に向かって跳躍した。巨人は再びビームを放とうとするが、その瞬間、アイリスの叫びが響いた。
「今よ!撃って!!」
空賊たちが一斉に砲撃を開始し、巨人のビーム発射を阻止するが上手く行かずビームの出力を上げていってるかのように空気をさらに吸い込むその時アイリスの両腕が光り「フレイムテンペスト〜!」と叫びながら、戦艦の甲板から炎の大渦を放つ。炎の嵐は巨人の目を覆い、視界を遮ると同時に、その巨人が放ったビームが狙いを逸れ、飛び移ろうとしていたスレイアの横をかすめた。しかしビームの一部が足に当たり、エアシューズが壊れてしまった。
スレイア:「くっ…エアシューズが…!」
それでもスレイアはどうにか敵の艦に飛び乗り、心の中で「アイリス、ありがとう」と呟きながら、剣を握りしめて船内へと突入した。暗い船内に足を踏み入れた瞬間、作戦の指揮官が現れた。
指揮官:「よくここまで来れたな。死んだと思ったが。」
スレイア:「みんなが助けてくれたからここまで来れた。でも、エアシューズも壊れたし、この船が沈めば俺も…それで終わりかもな。」
指揮官は余裕の笑みを浮かべる。
指揮官:「なら、石は諦めて大人しく帰れ。今なら見逃してやるぞ。」
スレイアは険しい表情で応じる。
スレイア:「それはできない。みんなの思いがあるからな…。」
指揮官:「そうか、残念だ。」
その言葉と共に指揮官は剣を取り出し、戦闘態勢に入る。しかし、スレイアはすでにシールドの準備が整っていた。瞬く間にスレイアは相手に接近し、スプラッシュスピアで激しい乱れ斬りを仕掛けた。水の力を纏ったアクアスピアで指揮官を突き刺し、強烈な一撃で吹き飛ばす。
指揮官はなすすべもなく床に崩れ落ち、息絶えた。スレイアは床に転がる加護石を拾い上げ、次にコアを斬り裂く。
スレイア:「よし、これで終わりだ…。」
その瞬間、船が不気味に揺れ始めた。スレイアは冷静な表情でアエリオンに伝える。
スレイア:「やばいな、アエリオン。エアシューズもないのに、この船沈めちゃったよ。」
アエリオン:「お前、正気か!? どうやって戻るつもりだよ!?」
スレイアは微笑んで言う。
スレイア:「大丈夫さ。僕の知ってるアエリオンなら、やれるだろ?」
アエリオン:「はぁ? それを信じるって…?」アエリオン:「まあ、見ててくれ。」
アエリオンはスレイアと交代し、船から巨人の方を見る。距離は遠く、少し無理だと感じたその時、先ほどの空賊が近づいてきた。
空賊リーダー:「よかった、無事か。飛び乗れ!」
アエリオンは「悪い、ありがとう」と言いながら船に飛び乗り、巨人に向かって突き進む。巨人の周りでは、空賊たちの船が飛び回り、巨人を翻弄していた。しかし、巨人もその巨体を活かしてビームや両腕を振り回し、何隻かの船を撃ち落としていく。
アエリオンたちはなんとか気づかれずに近づいていったが、もう少しで飛び移れるという時、巨人の手が船に擦った。
アエリオン:「やばい!」
咄嗟にハンドルを反対に切るが、上手くいかず船が落ちていく。アエリオンは反射的にソニックブレイクを反対方向に放ち、巨人の腕に飛び乗った。
その様子を見ていた空賊リーダーが叫ぶ。
空賊リーダー:「今だ! 風神殲滅砲、撃て〜!」
巨大な砲撃が巨人の顔目掛けて放たれた。巨人は咄嗟に腕で防ごうとしたが、間に合わず顔に命中。すると、巨人のおでこの所にコアが現れた。
アエリオンはすかさず腕を駆け上がり、風を纏いながら一気におでこへと走る。その時、アイリスも狙いを定めて叫ぶ。
アイリス:「フレイムテンペスト〜!」
コアに向かって火と風の力を混ぜた大渦が放たれ、アエリオンも負けじと**風を剣に集め、エアスラッシュ〜!**と一気に横切りを仕掛けた。
続けてアエリオンはストームブリンガーをコアに突き刺し、強烈な連続攻撃を加える。
アエリオン:「ストームラッシュ!」
激しい斬撃がコアに命中し、止めに入るべく、アエリオンはストームブリンガーとリヴァイアサルで**クロススラッシュ〜!**と一気にコアを斬り裂いた。
すると、巨人の体は石化し、ゆっくりと後ろに倒れていった。その瞬間、沈みかけていた空島の崩壊が止まり、逆に再び浮上し始めた。
アエリオン:「やった…! 勝ったぞ!」
アエリオンは勝利を喜んでいたが、巨人と一緒に沈みゆく状況に気付き、表情が曇った。空賊たちも近づこうとしていたが、間に合わず、船上には諦めムードが漂っていた。
スレイア:「アエリオン、風の加護石もあるし、一か八か飛んでみたらどうだ?」
アエリオン:「飛んだことはないけど…一か八かか…。」
スレイア:「大丈夫だ、空賊の船に近づければ、助かる。俺を信じろ。」
アエリオンは少し不安げに頷き、背中を押されるようにソニックブレイクを放ちながら巨人に向かって飛び出す。しかし、距離が足りず、失敗しそうになったその瞬間、アエリオンの体を纏っていた風が翼に変わった。
アエリオン:「なに…!?」
翼に変わった風は、アエリオンを空賊の戦艦にそのまま導いた。彼が無事に飛び乗った瞬間、船は一斉に歓声を上げた。
空島は再び浮上し、空賊リーダーは勝利を確信し、船の舵を安全な場所へと切った。
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