第10話空島の危機
エアシューズを使い、ガルムはヴァルクアの空船に素早く接近した。巨大な船体は空に浮かび、威圧感を漂わせているが、ガルムの狙いはすでに定まっていた。
「エアスラッシュ!」ガルムは強力な風の刃を発動させ、空船の中心部にあるコアを正確に狙った。風の刃が一閃し、コアを斬り裂いた瞬間、空船は動力を失い、急激に傾き始める。
「よし、コアを切り裂いた!」ガルムは安堵しつつ、空船が墜落していくのを見届けた。「これで遺跡の中に入れるな…
ガルムは、ヴァルクアの空船が墜落するのを確認すると、エアシューズを使って遺跡の内部へ進んでいく。暗く神秘的な雰囲気の中、彼は慎重に足を運びながら障害を切り裂き、道を切り開いていく。
「それにしても、アエリオン、エアスラッシュを使い続けてるんだな。」ガルムは心の中でアエリオンに問いかけた。「昔、お前は技名がダサいって笑ってたよな?」
「そうだな、でも最初に覚えた技だし、愛着があるんだ。」アエリオンが心の中で軽く笑う。
ガルムは微笑みながら、さらに遺跡の奥深くへと進んでいった。そこには、いくつもの落とし穴が待ち構えており、道も狭い。ガルムは落ちないように注意しながら進んだ。遺跡の通路を抜け、ようやく広がった神秘的な空間。壁や天井には光が漂い、まるで別世界に足を踏み入れたかのような雰囲気が漂っていた。
「感じるか、アエリオン?」スレイアが心の中で問いかけた。
「感じるよ、風の加護石だ……もうすぐだな。」アエリオンは慎重に前へ進む。
「ガルムさん、ここが最深部ですね……すごい!」アイリスが興奮気味に呟きながら、周囲の美しさに目を奪われている。
前方にある石版には、輝く風の加護石がはめ込まれている。それを見て、アエリオンはふと立ち止まった。「でも、クエストの注意にあった通り、古代兵器が動き出すかもしれない……」
「取るしかないだろ。」スレイアが静かに応じると、アエリオンはゆっくりと手を伸ばし、加護石に触れた。
その瞬間、背後にあった石像が大きな音を立てて動き始める。「やっぱりか……!」アエリオンが振り返り、すぐに構えを取る。
「ガルムさん、気をつけて!」アイリスが叫びながら、後方に下がって身構える。
石像は鈍重な動きで立ち上がり、彼らに迫ってきた。「弱そうに見えるが、油断するなよ。」スレイアが警戒を促す。
「わかってる……」アエリオンが応じると、スレイアが前面に出て、「アクアヴォルテックス!」水の渦が石像を包み込み、その動きを封じた。コアが露出し、スレイアはその隙を見逃さず、「アクアスピア」でコアを貫いた。
「倒した……簡単だったな。」スレイアが息を整えながら言った。
「すごい……!」アイリスが目を見開いて、その光景を見守っている。
「いや、油断は禁物だ。まだ何かありそうだ……」アエリオンが言葉を返す。
その言葉が終わると同時に、遺跡全体が激しく揺れ始めた。床が崩れ落ち、空間全体が揺らいでいく。
「これは……!」スレイアが驚いた声を上げると、巨大な腕が外から突き出てきて天井を粉々に破壊した。上空には、大地の巨人がそびえ立っている。
「なんて大きさ……どうする?」スレイアがアエリオンに問う。
「無理だ……こんな相手、逃げるしかない!」アエリオンが即座に判断するが、その時、遠くから砲撃音が響き渡った。
「何だ……!?」振り返ると、ヴァルクアが加護石を奪い去り、遺跡から脱出しようとしていた。
「加護石を取られた……まずい!」スレイアが焦る。しかし、ヴァルクアが外へ逃げ出そうとした瞬間、遺跡全体を覆う謎の結界が現れ、彼の逃走を阻んだ。
「ガルムさん、結界が……どうすればいいんですか?」アイリスが不安げにアエリオンに問いかける。
「逃げられない……結界か?」アエリオンは状況を見つめ、次の一手を考えていた。アエリオンがエアシューズで頭上に近づくと、「アクアデュリューズ!」と叫び、大量の水が巨人に向かって押し寄せた。だが、その瞬間、思わぬ光景が広がる。巨人の体は植物で溢れ、勢いを増していく。
「これはまずい……!」アエリオンが叫んだ。「水の力で逆に強化されてる。撤退しないと危険だ!」
その直後、巨人の口が大きく開き、空気を一気に吸い込む。「くるぞ!」アエリオンが叫んだ瞬間、巨人は強烈なビームを放った。地面ごと吹き飛ばされ、アエリオンたちは空島から落下していく。
「エアシューズが…!」アエリオンが焦るが、シューズは起動せず、もはや地面もなく、終わりが近づいているように感じた。
しかし、その時、空賊の巨大戦艦が現れ、ガルムとアイリスを間一髪で救出した。アイリスは地面と共に落下しただけで直接的なダメージはなかったが、アエリオンとスレイアは巨人のビームをまともに受けたため、消耗していた。
船内での緊急手当てが進む中、アイリスは空賊に素直に尋ねた。「どうして助けてくれたんですか?」
すると、空賊のリーダーは笑って、「小さな子が頑張ってるのをほっとけなかったんだ。それに、ゴーレム相手に圧勝して、巨人にも勇敢に挑んでる姿を見て、賭けてみたくなったのさ」と言った。
アイリスは驚きつつも感謝を伝えたが、空賊のリーダーはすぐに話を続けた。「だが、巨人を相手にするにはもう少し作戦が必要だな。あの巨人は『大地の巨人』と呼ばれていて、水は回復と強化の効果をもたらす。だから絶対に水は使わないことだ。巨人のコアを露出させるには、まずヴァルクアを牽制しつつ、巨人にダメージを与える必要がある。」
「我々空賊の目的は、あくまでもヴァルクアが持つ加護石だ。巨人は君たちに任せる。ただし、巨人に致命的なダメージを与えるため、こちらの船の『風神殲滅砲』を使う。だが、撃つまでの間、時間が必要だから、それまで持ちこたえてくれ。」
「わかりました。俺たちが時間を稼ぐ!」アエリオンは力を取り戻し、決意を新たにした。
船の砲台が準備される間、巨人は再び動き始める。アエリオンとアイリスは、空賊の指示を元にヴァルクアの動きを制しつつ、巨人の弱点であるコアを出現させる作戦を練る。
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