第50話

射沙波「あれ?うさぴょん、

    髪切った?

    一昨日とちょっと変わったっ

    つーか…」



うさぎ「えっ?

    よく気づいたね〜?

    ママには ホントに切ったの〜?

    なんて言われたのに

    すっごい嬉しいなぁ〜☆」



そう言ったら、うさぴょんは座ったまま

足をバタバタと踏み鳴らして



…さらに



射沙波「変化に気付く男だからさ、俺




    …似合ってるよ すげー」




ボボッ!




火がついたように赤面し

うつむいてしまった





うさぎ「(射沙波くんは、本当に

    意外なほど、意外!


    言って欲しかった事も

    ド直球で言ってくるし


    痒い所にだけ手が届く感じ…?



    …好きが…

    止まらなくなっちゃうじゃん…)」







――――うさぎ がカフェに来たのは

        偶然ではない―――――…


近くに来たからというわけでもなく


他愛のない話をしにきたわけでもない



眠れない夜を幾日も幾日も越えて

打ち込んだ文字を何度も消して


小刻みに震える指で意を決して送ったのが

先程 射沙波が受け取ったメッセージだった



ジョイフルメディアで触れた温もりは

雪解けのように消えてしまったが


胸の奥の温度は昇ってゆくばかり…

それなのに隙間が空いたように


風が抜けてゆく虚しさと

いつまでも重く残る夜の静寂と…


想い出と、腕に残る体温は記憶の中で

熱量を増して


溢れ出る想いは涙となって零れ落ちて


心の中を占める存在は

どこを向いても目に映るほどに大きくて



人を好きになることがこれほどまでに

うるさい程 心音を強めてしまうなんて

    ―――――――――――――――…

  • Xで共有
  • Facebookで共有
  • はてなブックマークでブックマーク

作者を応援しよう!

ハートをクリックで、簡単に応援の気持ちを伝えられます。(ログインが必要です)

応援したユーザー

応援すると応援コメントも書けます

新規登録で充実の読書を

マイページ
読書の状況から作品を自動で分類して簡単に管理できる
小説の未読話数がひと目でわかり前回の続きから読める
フォローしたユーザーの活動を追える
通知
小説の更新や作者の新作の情報を受け取れる
閲覧履歴
以前読んだ小説が一覧で見つけやすい
新規ユーザー登録無料

アカウントをお持ちの方はログイン

カクヨムで可能な読書体験をくわしく知る