7. 松田 毅(マツダ タケシ)

第7話

輝羅理

「悪りぃ ちょっと休憩する

    ぜ・・・」




「僕も、なぜか急に疲れがでてきました

  少し脈拍を整えます…」



少年の救出に関わった二人は早くも

疲労が見られ、最上部の手すりに捕まり

ながら体力回復に努めている。




輝羅理たちが救出した少年は、

傾斜した床の最上部 

ルナと愛梨の傍にいる。





「君・・・ 名前は・・・・?」




少年

「木村 ナイト・・・」




少年の瞳は暗く沈んでいる。


それは10分前の惨劇のためだった。





「ナイトくん、いい名前だね


  オレはルナ 



  ナイト と ルナ なんて、

  なんか気が合いそうじゃん!


  よろしくね!」




少年の表情から ルナは

それとなく事情を察していたので、


ルナなりの励ましの意味を込めた

挨拶だった。





「・・・お父さん・・・

  

  お母さん・・・  



  ぐすっ・・・」




ルナはリュックからガムを1粒取り出して

ナイトに渡した。




「ナイト、

  まずは生き残ることを考えような?」





愛梨

『かわいそうに・・・


   こんな事故に巻き込まれる

   なんて・・・』







「お察シ シマス・・・


  オトサーンとオカサーンがいないのは

  トテモつらいことでスね」




「うおっ!? 

  いきなり背後から出てくるなよ!!


  つーか誰???


  ちょっとやめてくれないかな??

  びっくりしたぁー…」





「失礼ツカマツリ申しまス」




愛梨

『青い目・・・ 外国の方?』





「目、以外はどうみても日本人?


  ・・・だよな?」





いきなり現れた男は青い目と、

マッシュルームのような髪型をした

日本人顔の風貌をしていた。

見た目から察するに19~20歳くらい

だろうか?


普段は質問しないようなことだが、

その出で立ちは聞かずにはいられなかった。





「申し遅れまシた


  ワタシ、松田マツダ タケシ

  言いまス


  みんなサンはワタシを”マツタケ”と

  呼んでいまス


  この髪型と名前は全く関係ありまセン


  アッキャッキャッキャッキャッキャ!」



「ちょ・・・おま…

  急に その笑いやめろ!


  手に力が入らなくなるから!!」




愛梨

『外国のかた? 日本人? どっち??』




「失礼し申しタ


  ・・・個性的な笑い方と良く言われマス


  ワタシ、

  オトサーンは茨城で、

  オカサーンは栃木のハーフです」




「・・・おもっきし日本人じゃねーか」




毅「ちなみにグランドじーちゃんは

  イギリス人でしタ」




「あぁ・・・じゃあ、クオータだね」





「ハナシが脱線してシマイ申した

  

  ・・・ナイトさん、今は気を確かニ

  もってくだサイ」




「・・・?」




「ワタシも、オトサーンとオカサーンを

  5歳の時に亡くシまシタ・・・


  とてもツライ記憶で申しマス」




タケシは自らの過去を話し出した。




「車デ旅行中、バスに追突されテ・・・

  

  二人とも亡くなってシマイ、


  ワタシだけが生き残りまシタ・・・



  初めての家族旅行のトキで


  ありまシテ…」




さらにタケシは続ける




「車が横転スルときニ、

  オトサーンとオカサーンが

  ワタシをかばウ様に 

  してくれタおかげデ

  ワタシだけは助かりマシタ・・・」




愛梨

『それは大変でしたね・・・』





「ハイ・・・ですガ、

  学校デできタ 仲間タチに励まされ、

  今がアリまス


  ですカラ ナイトさん・・・


  今はツライでしょうが、


  これからいろんなイイコトがアナタに

  やってキマス・・・


  人生は一度キリ ですガ


  喜びは何度モ何度モ やっちぇキマス


  ・・・やってキマス」




「 (・・・言い直した・・・) 」




「必ズ で申しまス


  人生とハ ソウイウものですカラ



  悲シイ思った分、

  シーソーは深く沈みマス

  

  デスが、その分 

  シーソーは高く跳ね上がっテ

  喜びも大きくなりマス



  そこノとこロ、知ってオイテ申しマス」





愛梨

『・・・深い話ですね』





「ごめん  タケシサン、


  内容は素晴らしいんだけどさ、


  しゃべりが結構 独特なんだね…」




「ソウですネー… 小学の頃は、

  疾風怒濤の転校生活でシタかラ・・・

  南は茨城・・・北は栃木まで

  いロンな学校ヲ転々として

  マシタから・・・


  いろいろな方言が混じって

  シマッテ申しまス」




「範囲せまっ!


  イヤ…

  北関東は関係ないと思うんだよなー…

  その口調…」





愛梨

『毅さん、一緒に頑張りましょうね』





「スミマセン… 

  さっき 盗み聞きして

  し申しマシた


  お名前 アイリさん 言いますか?」




愛梨

『あ、はい・・・』




「改めまして、タケシでス


  あなたを愛して申します


  以後ヨロしく申しさしあげマス」




愛梨

『えええええーーーーーーーー!?


   また???』




「これ、

  茨城ではひとめボレ言い申しまス」




「・・・全国共通な?」




愛梨

『また増えた・・・』





輝羅理

「おい、そこのマツタケ!

  

    俺の許可無くアイリに

    近づくんじゃねーぞ?」




「そーですよ!

  キラリくんの許可はともかく、

  愛梨さんに近づいたら

  敵と見なしますよ?」





「アイツら、

  なんでバディみたいに

  なってんだ・・・?」





「マツタケ呼んでくれて感謝申しマス!

  ワタシ、その響き気に入ってマスカラ!

  松と竹で縁起がよろシイ


  アッ キャキャキャキャキャッ!」




「だーかーら!

  その笑い やめろってば!

  手の力が・・・!!」




「ふふ・・・ あははっ!

  なんか この人たち面白い!」





愛梨

『なんなの・・・この状況・・・』





「キラリくん以外にもキワモノが

  増えましたね…」




輝羅理

「あん?

    リョウ、オメー 

    今 なんか言ったか??」




「いえいえ!

  キラリ君は極めつけの役者だなー …と


  ハハハ…」





輝羅理

「やっぱりオメーは 

    わかってるヤツだな


    よし・・・

    

    リョウも結婚式には呼んでやるよ」




「 (この人 意外と 扱い楽かも・・・) 」







13:25―――――…


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