4. 潮見 月 (シオミ ルナ)
第4話
学生やってます。
昔から高いところが好きで、
クラウンスカイタワーの
最上階から見る景色は
オレの癒しスポットだ。
やることがないときは だいたいここで
望遠鏡をのぞき込んで街並みを眺めている。
少しお茶でもしようとテーブルに
向っていたとき…
「あれっ?」
オレが手を振ると 女性がそれに気づく。
「あっ ルナくん?」
女性の名は
オレと中学と高校が同じで
顔なじみだ。
月
「愛梨ちゃん
今日ライブじゃなかったんだ?」
愛梨
「うん ちょっと時間があったから
ここで時間つぶそうと思って…」
月
「そうなんだ
でも こんだけ人がいるのに
愛梨ちゃんとばったり会うのって
もう何回もあるよね?」
愛梨
「そうそう! びっくりだよね!
ってか ルナくんはここ好きだねー」
月
「庭みたいなもんだからね、ここは」
愛梨
「ルナくん、ルナくん
それより 聞いてよ~
今日なんだけどさぁ」
月
「ふふっ どうしたの?
そんなに焦った顔して」
愛梨
「今日っていうか
ついさっきなんだけどね?
2回も 告白されたの・・・
こんなこと、ある?
びっくりなんだけど」
月
「マジで??
えっ? 誰 誰? その人って??」
愛梨
「一人は知ってる人なんだけど、
もう一人は今日
学生証を拾ってくれた人?」
月
「んー? なにそれ??
なんで急に??」
愛梨
「わかんないよー そんなの」
月
「えっ? えっ?
・・・んで、返事は??」
愛梨
「急すぎて びっくりしちゃって…
逃げてきちゃった」
月
「なーんだびっくりしたぁ~」
愛梨
「おかしいよね??
今日で人生終わっちゃうんじゃないか
ってくらい 展開が早くって」
月
「ホントおかしいよー
愛梨ちゃんのこと好きなのは
オレなのにさー」
愛梨
「ねー、ホント・・・
えっ えぇーーーっ!?
今、なんて言ったの??」
月
「えっ?
愛梨ちゃんが好き ・・・って」
愛梨
「ちょっと、
なにサラっと言ってるのーー??」
月
「あ・・・ イヤだった・・・
かな・・・」
愛梨
「イヤっていうか・・・
そーゆーんじゃないけど・・・
・・・その・・・
心の準備とか さ…」
月
「ごめん。
あ、 愛梨ちゃん、
ちょっとこっち来て?」
展望台の脇にある白い柱の陰に
オレは愛梨ちゃんをぐいっと引っ張った。
愛梨
「きゃっ」
月
「愛梨ちゃん、もう一回だけ言わせて?」
愛梨
「うん…」
ドキドキドキドキドキドキドキドキ…!
月
「愛梨ちゃん…
スカートがリュックにひっかかって
パンツ見えてるよ?」
愛梨
「きゃぁぁぁ! いつから???
もっと早くいってよぉーー!!
雰囲気台無しぃぃーー!!!
もー バカぁっ!」
月
「あはは やっぱり 怒った顔も
かわいいよ!」
愛梨
「もー知らないっ!!」
月
「待ってよぉー
だから柱の陰に隠してあげたのにー…」
時刻は11:33分…
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