4. 潮見 月 (シオミ ルナ)

第4話

潮見しおみ ルナ  17歳


学生やってます。



昔から高いところが好きで、

クラウンスカイタワーの

最上階から見る景色は 

オレの癒しスポットだ。



やることがないときは だいたいここで

望遠鏡をのぞき込んで街並みを眺めている。




少しお茶でもしようとテーブルに

向っていたとき…




「あれっ?」




オレが手を振ると 女性がそれに気づく。




「あっ ルナくん?」



女性の名は

美才治びさいじ 愛梨あいり



オレと中学と高校が同じで

顔なじみだ。




「愛梨ちゃん 

 今日ライブじゃなかったんだ?」



愛梨

「うん ちょっと時間があったから

 ここで時間つぶそうと思って…」



「そうなんだ

 でも こんだけ人がいるのに 

 愛梨ちゃんとばったり会うのって

 もう何回もあるよね?」



愛梨

「そうそう! びっくりだよね!

 ってか ルナくんはここ好きだねー」



「庭みたいなもんだからね、ここは」




愛梨

「ルナくん、ルナくん

 それより 聞いてよ~ 


 今日なんだけどさぁ」




「ふふっ どうしたの? 

 そんなに焦った顔して」




愛梨

「今日っていうか 

 ついさっきなんだけどね?


 2回も 告白されたの・・・


 こんなこと、ある?


 びっくりなんだけど」




「マジで??

 えっ? 誰 誰? その人って??」




愛梨

「一人は知ってる人なんだけど、

 もう一人は今日 

 学生証を拾ってくれた人?」




「んー? なにそれ??

 なんで急に??」




愛梨

「わかんないよー そんなの」





「えっ? えっ?


  ・・・んで、返事は??」




愛梨

「急すぎて びっくりしちゃって…

   

 逃げてきちゃった」




「なーんだびっくりしたぁ~」





愛梨

「おかしいよね??

 今日で人生終わっちゃうんじゃないか

 ってくらい 展開が早くって」



「ホントおかしいよー


愛梨ちゃんのこと好きなのは

 オレなのにさー」




愛梨

「ねー、ホント・・・



 えっ えぇーーーっ!?


 今、なんて言ったの??」



「えっ?

 愛梨ちゃんが好き ・・・って」



愛梨

「ちょっと、

 なにサラっと言ってるのーー??」



「あ・・・ イヤだった・・・

 かな・・・」



愛梨

「イヤっていうか・・・


 そーゆーんじゃないけど・・・


 ・・・その・・・


 心の準備とか さ…」




「ごめん。

 

 あ、 愛梨ちゃん、

 ちょっとこっち来て?」




展望台の脇にある白い柱の陰に 

オレは愛梨ちゃんをぐいっと引っ張った。




愛梨

「きゃっ」




「愛梨ちゃん、もう一回だけ言わせて?」




愛梨

「うん…」






ドキドキドキドキドキドキドキドキ…!









「愛梨ちゃん…


  

 スカートがリュックにひっかかって

 パンツ見えてるよ?」




愛梨

「きゃぁぁぁ! いつから???

 もっと早くいってよぉーー!!


 雰囲気台無しぃぃーー!!!


 もー バカぁっ!」




「あはは やっぱり 怒った顔も

 かわいいよ!」




愛梨

「もー知らないっ!!」




「待ってよぉー


 だから柱の陰に隠してあげたのにー…」





時刻は11:33分…

  • Xで共有
  • Facebookで共有
  • はてなブックマークでブックマーク

作者を応援しよう!

ハートをクリックで、簡単に応援の気持ちを伝えられます。(ログインが必要です)

応援したユーザー

応援すると応援コメントも書けます

新規登録で充実の読書を

マイページ
読書の状況から作品を自動で分類して簡単に管理できる
小説の未読話数がひと目でわかり前回の続きから読める
フォローしたユーザーの活動を追える
通知
小説の更新や作者の新作の情報を受け取れる
閲覧履歴
以前読んだ小説が一覧で見つけやすい
新規ユーザー登録無料

アカウントをお持ちの方はログイン

カクヨムで可能な読書体験をくわしく知る