#7. 黒い光

第7話

目の前には

まとわりつくような黒い霧


背中には

包み込むような白いもや



たった一つの扉の鍵



振り返ることなく踏み入った道





はじめからわかっていたこと

息が出来ない



自らが望んだこと

目の前が霞む中で 宛もなく彷徨さまよう日々




夢と現実うつつ狭間はざま



この眼に映るのは果たして真実か



ブラインドの隙間から刺す稲光が

瞳を焦がす



止まない雨が激しく心臓を狙う



アスファルトを穿うがつ音が

好き勝手に叩きつけ

雷鳴をかすめ取る



呼吸音だけがこの世に繋いでくれる

パスポート




蜂蜜を溶かすような くだらない物語と


戯れに等しい 甘い幻想と


偽りに塗れた世界に唾を吐き捨てる





闇夜の衣を身にまと



ひつぎの中で誓うのは



貴方の喉元に刃を突き付けること





眠りの世界は死の世界



このまま誘われ やがて昏睡に沈みゆく





終焉の中心で見た夢は心地良い痛み



鋭利に尖った端に手を伸ばす



染まりきった姿は

渦巻いた黒い霧で洗われて



皮膚を焼く苦しみは

朝陽あさひに首ごと刈り取られた





生きながらにして

再び生を受けるということ



欠伸あくびをするいとまを得た今


改めて向かうのは第三の扉

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