第68話

―だから…言ったのに…!―




あなたは、膝を地面について

涙を流している。


目の前で大切な人が亡くなったのだ。


相当なショックを受けたに違いない。


特に、この世界においては

唯一無二の人を失ってしまった…






瓦礫と化した墓石を目の前に、

あなたはしばらく立ち上がれない。




他の墓石も崩れ去る可能性があり、

早くその場を後にしないと相当危険

であるというのに、

あなたは立ち上がろうともしない。





あなたもユウと同じように

死に追いやられても構わないと思ったのか、


ユウのそばに居たいと思ったのか、


それはあなたにしかわからない。







――――――――――――――――――――

 ・・・10分ほど経過した頃・・・

――――――――――――――――――――…







―ユウ、

 必ずリセットをかけて助けるから―





時計に表示された“ZAN2“





あなたは時計を見つめながら、

そう呟いた。





おそらく、あなたがリセットをくらえば

ユウもリスタートされ、

約束の街路樹でまた会えるはず。







―いくよ、ユウ…。


       またね… ―








僅かながら残機があるとはいえ、

亡骸をそのままに立ち去るのは

気がひけるだろうが、

あなたは何か、決意をしたような

目に強い光を宿した。

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