第63話

―ユウが居てくれてホント良かった…―






自己暗示の効果は即効性で

あなたもスッと立ち上がり、

再び歩き出せるようになった。





「こっちのセリフだよ」






さすがに無かったことには出来ないが、

今の2人なら この場を乗り切れそうな

表情には なりつつある。




長い通路を戻れば、ようやく本堂の入口だ。




そういえば、時間を気にしていなかった

と、あなたは時計を見ると、





―04:44? 

 この寺にやって来たのは

 2時過ぎだった…

 それにしても、

 結構な時間が経っているね?―




「一回、地下道で時計狂ったよね?


 その影響もあるんじゃない?」





なるほど、とユウの顔を見つつも

どの影響だよ、とあなたはすかさず

つっこんだ。





「ここだと時間って概念

 良くわかんなくなるね?


 せいぜい、リセットタイム気にする

 くらいなもんでさ


 時間って何?

     って感じでさ」






帰り道は鈴の音が無いが、

変わりに静寂に包まれていた。



静寂に至っては、

今に始まった事ではないが。

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