第62話

「ハアッ … ハァッ…!


    ハァッ…  ハァッ!」





―はぁ… はぁ…!―







先程話していた温泉どころではない。






何かが、すぐそばにまで迫ってきた。





何かが、確実に… 居た。





隠し扉の畳の上に乗ったまま、

後続の恐怖に怯える あなたとユウ。




顔を見合わせると、

お互いの顔が青ざめていた。






「出た… 


 出たよ…  ついに



      出ちゃった…」





出る出る詐欺と言った本人が

言ったことも忘れて、声を震わせていた。






石板を探さないと 次の地点には

辿り着けないが、残機は殆どない。



かと言って あの謎の気配に怯えながら

探索しなければならないのか?

と、2人はなかなか立ち上がれなかった。





「よし、

 無かったことにしよう」





―は?―






ユウがスクッと立ち上がり、

恐怖心を消すためか




「ジブンたちは、

 山の上に鏡があるのを見つけた。


 他には、珍しいことは何にもなかった。


 …ってことで 合ってるよね?」




―セルフリセット、完了


     うん 何も無かった―




ユウのセリフに、あなたも便乗し

セルフリセットなる自己暗示をかけていた

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