第59話

地下道に比べて少し 周りの様子が

見えやすいのは、唯一の利点か。

ほんの気休め程度の利点ではあるが。




通ってきた地下道は傾斜がついていた為か

墓地は高台になっている。



見下ろす限り 下の方にも墓地は

広がっているが、かなり高い崖に

隔絶され、今いる場所からは移動は

出来そうにない。




「さらに上にあがるしかなさそうだね」




とりあえず進むべきは墓地のさらに上、

その一択のようなので

はユウと共に、裸足で斜面を

登ってゆく。




スマートウォッチのライトが、

墓石の表面に反射している。






ぬかるんだ部分もあり、

気持ち悪いなぁ、と口に出しながらも

頂上へ到着。






梯子の場所から頂上まで、景色は変わらず

墓石が並んでいるだけのようだ。








―ユウ 今、何か光らなかった?―





「えっ?

 墓石の反射じゃなくて?」





そこの黒い墓石のところ、と言いながら

あなたは指を指し、確認のため歩み寄る。





―鏡が置いてあるよ?―






墓はどれもこれも灰色だが、

1箇所だけ黒く目立っている。





「お〜 ホントだ


 …っと、固定されてて動きはしないね」





『… みえる…?』






「えっ?


 何か言った?」





…あなたは、首を横に振った。





「鏡があるだけで他は何も無いし、

 いったん戻ろうか?」






―そうだね―

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