第56話

「ちょっと!


 時計がおかしなことになってる!」




ユウに言われ、あなたは

一旦ライトモードをOFFにして時計を見た。


すると、

表示が“99:99“になっているではないか。




「ここ、何かおかしいかも!


 早めに抜けたいね」




余裕がありそう…と、思いきや、

この地下道の異常さに慌てる2人。







「でもさ…

 ほら、こういう異常な時こそ

 気分上げてこう?


 お寺、墓場、

 謎の地下通路、


 謎の時間表示バグ…


 いかにも何か出そうだけど、


 出る出る! って思わせといて

 

 イヤ出ないんかい!

 って パターン?


 出る出る詐欺?


 きっとそれだよ」





ユウは自らを鼓舞するかのように、

再び強気に出た。


あなたは

“でも、残2だよ?“ と言ったが、



”だからこそだよ!

 守りに入ったら、誰か知らんけど

 そいつの思うツボでしょ?”



と、逆に言い返されてしまった。




その言葉には何の根拠も無いのだろうが、

勢いというものはここぞと言うときには

必要だ。 

あなたは、あなた自身の直感を信じ

ユウの勢いに乗り、

全力で地下道を突っ走ることにした。




ゴンッ!





「痛いっ!」





いきなりユウが頭をぶつけたのを見て、

あなたは少し身を屈めながら走った。




30秒くらいは走っただろうか。





「危ない危ない!


 行き止まり!!」




前方を照らすライトが壁を捉え、

2人は急停止した。

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