第55話

階段を13段ほど下りると、中は

並んで歩けるほどの空間が広がっていた。







ジャリ…







―!!―







あなたは何かを踏み込んだと思い、

足元を照らすと、



がばらばらと散らばっているのが見えた。

足の踏み場がないくらい

ばら撒かれている。







―誰か、ここで生活していた?―






米の他、茶碗やペットボトルなどが

無造作に転がっているのを見て、

あなたはそう呟く。













「頭、ぶつけないように気をつけて?


 横は広いけど 高さはそんなにないね」






頭は天井スレスレというわけではないが

飛び跳ねる程の高さは無く、圧迫感がある。







きゅぅっ…






心細くなったのか、

ユウがあなたの手を握った。






「暗いし、離れないように

 こうしてよう?」







そう言ったすぐそばから、

ユウは顔をライトで照らして

あなたを怖がらせてきた。







一瞬 ビクッとしながら、

あなたが 怒るよ?と言うと

ユウは舌をペロっと出して謝る。







この状況に順応しているのか、

ユウは少し余裕がありそうだ。

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