第38話

ユウは、記憶にある限りの過去を

あなたに語ってくれた。









「ジブンの名前と、両親の名前は


 覚えてるよ。


 母親の名前は、ミイ。


 漢字は…


 駄目だ、記憶消されてるみたい



 病弱だたなぁ、母親。


 顔も思い出せないのに、

 何故かその事実とだけは結び付いてる。



 お見舞いに行った記憶は朧気おぼろげ

 あるんだけど、いつどこで、

 誰と行ったかとか、全く覚えてないよ」







ユウが語った話に、あなたもいくつか

返していた。







あなたの場合、自分の名前以外は

全く出てこないようで、


”ジブンよりも重症だね?” と、

ユウにからかわれ、デリカシーの無さに

呆れながらも 同じ境遇を分かち合い

笑い合って…





時間を気にすることなく、

雰囲気を共有し合って










いつしか、

目の前の人どうし、惹かれ合っていた…

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