第302話

ジュエルくんは優しいね


 学校では席が隣だったから

 1番話してたっけ


 

 …ありがとう。

 

 彼女が俺を正しい方向に導いてくれた

 おかげで、ジュエルくんともこうして

 仲良くなれた。


 生きている限り、この呪いはずっと

 続いていくけれど…


 ジュエルくんとの出会いは、

 俺にとっては希望だから」




「生きていくことって

 簡単なことではないかもしれないけど、


 どうかこのまま、抗って…

 抗い続けて、


 いつか本当の希望を掴んでほしいな。

 征十郎くんには。


 本当の希望は、もっと先の方にある

 と思うよ

 大きな大きな希望が。


 その出会えた女性が、きっと

 征十郎くんをこれからも導き続けて

 くれる筈


 それに、子の人生は親の人生の2周目

 なんかじゃいし、

 親のおもちゃでもない。


 自分の人生なんだから、

 少し肩の力を抜いてもいいと思うよ」




ジュエルくん…


 今の言葉、大切にさせてもらうよ。

 

 ありがとう」




征十郎は顔を上げ、微笑んだ。


張り詰めた空気を退かすように、緩やかな風が頬をなぞった。




「ふふふっ!


 やっぱりジュエルくん、前よりも

 変わったね


 学校始まったばかりの頃は、俺でも

 近寄りがたい事もあったのに


 今はそんな雰囲気もなく、

 神々しくもある…」




「やめてよ そんなんじゃないから


 でも、あの頃と比べたら今のほうが

 ずっと自分らしく居られてる気がする」

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