第296話

「泉水くん!

 孔雀畑先生にこの人とは何事か!


 さっきから無礼が過ぎるぞ!!


 このお方の前で、何だその態度は!?」




『人が1人死ぬかもしれないって時に

 無礼だとか態度だとか言ってる場合

 ですか!?


 総理なら一言ガツンといいましょうよ 

 

 人助けだと思って!』




コホン…




「泉水くん、一旦落ち着こう。」




孔雀畑が一言だけ言葉を発したが、

その顔を見た総理の顔が青ざめてゆく。


優しい口調とは裏腹に、その瞳の奥には

権力の高さ深さ重さが鋭く光っている。


空気の分子運動が鈍く凍結しそうな寸での

ところで、泉水も冷静さを取り戻した。




『大変失礼しました。


 冷静に、さらに冷静に考えて見れば

 孔雀畑さんのお考えの元、

 ご発言されていることに気づきました


 誠に…申し訳ありませんでした…』




泉水は深々と謝罪し、それを見た総理も

同じ角度まで頭を下げた。





「いや、落ち着いてくれたなら

 それでいいんだよ


 頭を上げてください」




「孔雀畑先生、

 ご厚意にあずかります…」




『 (アレ…


   なんで総理まで頭を下げてるん

   だっけ…??


   もしかすると…


   孔雀畑さんって… 


   めちゃめちゃ偉い人だった?) 』

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