第292話
「日本はシーパワーに長けた国だが、
実はそれ以外にも知られざる力を
秘めていたんだよ。
古い文献レベルでしか知りようがない
物体を9月に確保したのはもう耳にして
いると思うが、これを扱えたのが、
冒頭に話した男、黒鎌氏なんだ」
「毎日ヒヤヒヤしっぱなしでしたよ、
正直 生きた心地が全くしなかった。
そのようなものがこの国にあったことも
知らなかったし、それを使ってとんでも
ない取引が為されていたなんて、
…そんなことを知っていたら、総理大臣
にはならなかったかもしれない。
上手くすれば無限にエネルギーを
取り出せるのかもしれませんが、
歴史を紐解く程にその闇は深い…。
背景には数多くの犠牲があり、関係の
ない所で暗に葬られた史実や記録の無い
命…。
リスクも何もあったものじゃない。
確かに貴方以外には情報の操作も
出来ないだろうし、出来た所で責任も
取れたものではありませんしね」
「総理大臣である君は首を突っ込んでも
何一つ恩恵を受けないだろうね
…少なくとも、今は。
事実、黒鎌氏が失脚後は国連が荒れに
荒れた。収集がつかない程に。
なんとか、我々が管理することで
落とし込めたが、あの物体を狙う輩も
随分と増えたからね。
少ない財源を余計な経費に当てざるを
得なくなった。
済まないが、税率を1ポイントだけ
上げてくれないか?」
「かしこまりました。そのように、
大臣には指示しておきますね
それと…
国連は、我々ではなくて
貴方一人に対してのみ信頼している
ようにも見えたと聞いています。
貴方が居なくなった瞬間、闇は闇で
無くなり…ただこの国を脅かす脅威に
なってしまうでしょうね。
今、貴方が命を落とすだけで日本は
スラムになってしまうかもしれない。
私は真剣に、そう思っています。
それほど、貴方は最重要人物だという
ことをくれぐれも…
本当にお願いしますね?」
「ははは
コンビニに行くのにも何十人も
ゾロゾロとついてこられるのは
そろそろ勘弁してもらいたいものだが
何とかならんかね?」
「なりません。
必要あれば、孔雀畑さん専用の店を
作りますので、出来ればそこで
御用を足して頂きたいですよ」
注 :
黒鎌の鎬、その詳細については“射沙波くんの恋歌“をご参照ください。
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