✿EP4. 黒い来訪者✿

第291話

…――――――――――――――――――――

ところで、黒鎌という名を耳にしたことはあるだろうか?



表側の人間であれば、

良くて朽笛高校の元理事長…ということくらいしか知らないだろう。



もしもそれ以外でご存知だというのならば

あなたは闇の世界に足を踏み入れているのかもしれない…

――――――――――――――――――――…




「数年前、そのような出だしで

 ナレーションが語り始める深夜番組が

 あったんだが…


 しかし、放送に関わったディレクターや

 取材を行ったキャスター等 計13名は、

 放送数日後に身元不明となったんだ。

 しかも、その報道は一切流されること

 なく、我々政府の一部を含む国の

 トップのみしか真相を把握していない。


 ネットでもヒットすることすら無い

 黒鎌という男。

 彼を語るには世界の事情にも精通する

 必要があるが、とりあえず掻い摘んで

 話すとだね…」




国家戦略局推進本部―――――…



泉水の上司 孔雀畑は様々な顔を持ち、

多忙な日々を送っているが、最近はこの推進本部に構えている事が特に多く、多くの要人も頻繁に出入りしている。


官房長官の役を自ら下りてからは多岐に

わたり業務の幅を広げてきたのだが、

法務、外務、防衛、環境、等々…

あらゆる部門は彼の助言をベースに指針を定めており、既に国を掌握する存在と言っても差し支えない。

現に、今 目の前で話している相手は日本のトップオブトップ、総理大臣だ。



「まさか総理大臣である私を差し置いて

 そのような分野に手を回すとは、

 毛筋程にも考えませんでしたよ…

 皆がメタンハイドレートやら宇宙太陽光

 に核融合発電だの言ってる時に、

 全く別の分野に目をつけるんだから

 とんでもない方ですね、孔雀畑先生は」

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