第284話

ふたつの肩に、ふたつの手のひらが

そっと添えられて…




はっと見上げた泉水の視線は、

薄暗闇の中 きらきらと光る瞳の中へ捕らえられ、柔らかな微笑みに頬を緩めた。




「大好きだよ」





『私も 大好き』






たった一言の声を交わすと、

嘘のように緊張はほどけ、

添えられた手に引き込まれてゆく…







そっと包み込む腕に身体を委ね、

泉水はベッドを背に 目を閉じた。






Chu…  chupu …


  …Chu chupi… Chu…



 



”好き”を具現化するように、

リップ音が 重ねあう唇から何度も漏れる。






泉水の身体に巻き付いたバスタオルは

無かったことのように剥され、

ジュエルもバスローブを開放し

あらわとなった肌と肌が求め合い 吸い付く。





『 (肌…


   ぴったり くっついて…


    …気持ち いい…) 』





ジュエルの首に回した両手を

背中まで落として、身体中に体温を

浴びて…






鳴り止まないリップ音は、

鼓動と脈拍のリズム隊をバックに

激しさを増す…。





『はん…



   …ぃゃっ…』









甘い雨は泉水の首筋をなぞるように

南下して行くと、


蕾の部分を舌先で優しく撫で…




『あっ…


  あぁっ


       あんっ 』




指の刺激と 唇と甘噛みと、

舌先のサークルが同時に混ぜ合わさり



吐息に混じり 色味掛かった声が漏れる。





『はぁ…


  はぁ… ぁあっ


    はぁ…  ぁ…んっ 』





既に息は 整えることを諦め


跳ねるように乱れては、


背中に走る快感の波に 身を震わせる。

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