第283話

『あの夜は別として、


 お手やわらかに お願いします…』





「こちらこそ…」






『電気、消していい?』





「うん」







ピッ…







薄暗くなった部屋の中、

シーツがカサつく音が際立って聞こえる。







『・・・・・・。』


「・・・・・・。」









  くる…



    くる…



  くる…



       くる…







ベッドの上 沈黙が続く間、

正座したままジュエルと向かい合い、人差指でシーツに延々と”の”の字を繰り返す泉水。






『私… その、


   初めてなの…』








「僕も…」







ジュエルくんはそうでしょうけど…

 まだ15だし


 

 私… 26で初めてって、変かな…?』





目を伏せたまま、泉水がそう言うと…





『変なわけないじゃん


 幾つだって関係ない



 …それも含めて、かわいいよ』








目が合い、姿勢同じく正座のまま

お辞儀をする どこか古風な2人…





ゴチンッ!



『あいたっ!』 「いてっ!」





「ごめん、いずみちゃん…」




『ううん、こっちこそ



 ジュエルくん…


       緊張してる?』





「え…


  あ、 うん」






こんなとき、どう声をかけるのが正解なのかわからず ただ沈黙を破る言葉を探す2人。





ジュエルくん…』

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