✿EP2. First…❤❀

第281話

少し時を遡ること、9月1日―――――…




泉水もジュエルも、

退院明けの1週間は それぞれ様子見程度に過ごし、夏が終わると ごく平凡な日常の時間軸へと身を沿わせ、溶け込んでいった。


しかし 秋の始まりを拒むように、まだ夏は終わらない、まだ夏の延長戦なのだと主張するように、山彦殿高校の放課後は熱気をはらんでいた。


「浜西主催、オンラインゲーム大会〜!」



「久しぶりじゃね?


 ジュエルくんの歓迎会以来?」



「作戦は? 騙し討ち?


 それとも、真っ向から攻める?」




生徒たちの間でも定番となったクラステこと、”クラウンスティール”で、世界を相手に大暴れしようと浜西が計画してきたようだ。




ジュエルくん、前列の指揮お願い

 しちゃってもいいかな?」




「ごめん…今日はちょっと

 外せない用事ができちゃって…


 さっき仕事が入って…


 だから、今日だけは不参加で


 …やりたいのはやまやまなんだけど…」




「えー〜〜!?マジか!??


 ジュエルくん抜き??


 う〜わ!終わった…


 たぶんランク落ちたわ」



「日にち変えらんないの?

 明日とかに」



「それは無理…


 クラステは対戦予約すっぽかすと、

 ペナルティで5ランク下がるから


 やって負けたほうがまだマシ」



「1ランク上げただけでも歓喜なのに


 5ランクも下げられんのかよ!?


 誰だよそんな決めごと作ったヤツ…


 ぶち殺されてぇのかな?」




「ホントごめん…


 今度必ず埋め合わせるから」



「ジュエルくん忙しいからしゃーねぇべ


 仕事入ったんじゃ、仕方ねぇって」




――――――――――――――――――――

――――――――――――――――――――

――――――――――――――――――――

――――――――――――――――――――…




仕事とは建前で、本音としてはプライベートな用事。


はなぶさ市の隣、雫灯しずかり市の繁華街から少し離れた高速道路下の夜の街…


交わした約束の日、

ジュエルは泉水と、とある建物に立ち寄った。

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