第270話
「はじめて いずみちゃんに会ったとき
カケラに支配された、"表の僕"は、
ふざけてるようにしか見えなかった
…と思う。
けど、内側の “本当の僕“ は…
すごくドキドキしてた。」
『あの時のこと、凄く覚えてる…
思ってただなんて、
夢にも思わなかったわ…
私はあのとき、
卒倒しないように必死だったなぁ…』
「それから会うごとに、だんだんと
本当の僕が出せるようになってきて…
ネットカフェは印象的だったなぁ
あんなにたくさんお話し出来たのは
初めてのことだった」
『うん…
心配だったけど、
あれ? 意外とお話好きなのかも?
って思っちゃった』
「あのときには…
いずみちゃんは、僕の中で大切な人に
なってた…
あの映画館に行く前の出来事が
何よりの証拠。
本当の僕はもちろん、
表の操られた僕でさえも
いずみちゃんの魔力に
やられちゃってた と思う」
『私の魔力? ふふっ
そんなのないわよ…
でも ありがとう
あのときは、
助かったわ…
本当に 本当に、ありがとう。
いつもかっこいいよね、
「頭で思うより、
身体が先に動いてた…
無我夢中であの場所に走ってて、
この人を、守らなきゃ…
“一生護りたい“
…真剣に そう思うようになった」
きゅっ…。
まっすぐに泉水の目を見ながら、
泉水の両手を握る
『
「僕の脳に埋められたカケラは、
これからどんなふうになってしまうのか
僕にもわからない…
…もしかしたら、
長くは生きられないのかもしれない」
『・・・
うん…。』
「だけど、
護りたい人のためなら
何度だって 立ち上がってこれる
自信が、僕の中には確かにある。
例え 黒い闇に染まったとしても、
僕の中の、大切な白い花だけは
絶対に、染められない
どんなことがあっても。」
『うん… 』
「僕は、
自分の運命からは
絶対に逃げない。
逃げずに、乗り越えてみせる。」
『うん…
できるよ きっと』
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