第263話

「元気になられたのはいいのですが…


 一応、ここは病院ですので」





『スミマセン…』



「ごめんなさい…」





どこから見られてたんだろう、と

医師の顔を見ることが出来ずに 2人は

下を向いたまま顔を上げられない…。






「え、と…

 ジュエルくん」




「あ、ハイ…」





「検査結果をお伝えしておこうと

 思いまして、

 泉水さんも横で聞いていてください」




『あ、ハイ…』






顔の高潮が冷めぬまま、

うつむき加減に相槌をするのが精一杯の

ジュエルと泉水。






――――――――――――――――――――…







「画像を見たらすぐにわかりますよ


 ここ、前回のが青で

 今回のが赤…


    ・・・どうです?」




医師はタブレットで

ジュエルの脳内を撮影した画像を

開き、説明する。




「以前、

 最大で11.8cmあった異物ですが…


 現在は なんと、

 5ミリ角までに縮小しています


 …ジュエルくん、

 ここ最近 

 何か変わった事はありましたか?」




ジュエルは一連の騒動を

思い返し、その上で迷わず答えた。






「何もありませんでしたよ。

 僕が階段で転んだだけで。」



「・・・そうですか。


 では、明日には退院できますから

 支度だけ済ませておいてくださいね


 また、週1での検査は継続するので

 お別れ感はありませんがね?」




『良かったじゃない!ジュエルくん!


 5ミリだって!

 回復傾向なんじゃない?』





「こらこら、あまり安易に期待させる

 ような事を言ってはいけませんよ?


 まぁ、気持ちはわかりますが」




『すみませぇん…』




「とにかく、2人とも疲労が溜まった

 状態でここに来たことをお忘れなく。


 今日はまだ安静にしていてくださいね?


 …お大事に」




医師は携帯のバイブに気づき、

誰かと電話をしながら部屋を出ていく。





――――――――――――――――――――…

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