第250話

その日の夜―――――…





「理人さん…私の為に

 いろいろとありがとうね?


 手術は、理人さんがしてくれるの?」




「ああ、勿論だよ。


 大切な君の手術を

 他の誰かに任せるなんて

 考えられないからね?」




医学博士でもある理人は、もともと

研修医を終えて 外科医として

病院に勤務していた経歴がある。



ノアの病状は、細胞が自らの正常な

細胞を異物と誤認して攻撃してしまう

ものであり、加速的に 臓器に損傷を

たらしめていた。


なんとか薬物で損傷の軽減を図っていたが

身体への負担が相当に強い。

そこで、この体内で起こっている

負のプログラムを正常化するために、

エンドピースを埋め込むことが必要なのだ、

と 理人は考えていた。





「もしも、

 明日 私の目が閉じたままでも…


 私はあなたのことを愛しています



 次、目が覚めた世界でも、ずっと…」




「絶対に 成功させるよ


 明日も、明後日も、

 その次も!


 君は僕の隣で 笑っていられるから


 そんな風には、言わないでくれ…」





「理人さん、


 ありがとう…


 理人さんが 居てくれて良かった…



 これ、お守りだと思って

 私から あなたに…


 結婚式の日に渡そうと思ってたの…」






ノアが、理人にプレゼントしたのは、

白い花。



花の名前はニゲル…。



白いニゲルの花は、理人に勇気を与えた。

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