第45話

『ねぇ、パパ。


 

 アリスは…


 今、どこにいるの?』






  カチャ…。






食事する手を止めて、間を作られたものの

表情に変化はない。





❴アリスを知っているのかい?❵





『アリスは、ボクの恩人だから。』





❴恩人?❵





喜怒哀楽、いずれにも当てはまりはしない


ただ、不思議そうな顔をしていた。







「世の中の楽しさ、面白さ


 人が何に怒り、何に悲しむのか


 ・・・パパが教えてくれなかった事、



 全て教えてくれたのは、


          アリスだから」





カチャ…


       カチャ…





父親は再び食事を始めた。






❴恩人と思う ということは、

 

その人に謝りたい程の意を感じるという

ことだよ。


その意とは、


結局、何をもたらしてれるのかな?


少なくとも、

私の望みからは 程遠いものだろうね❵






「アリスのことは、ここに居る皆


 誰一人知らなかった…



 いや、

 知らなくなってた。



 なのにパパは、

 何でわかるの!?」





❴一緒に食事をしたんだ


忘れるわけがないだろう


周りの子たちは 本当に彼女のことを

知っていたのかな?❵




「知らないわけはないよね?


 ここにいる者たちは皆、優秀な人材

 だけだから


 全員の名前も、顔も、

 予定も、 全部把握してる


 なのに、一晩で忘れるなんて


 絶対におかしい!


 

 何か 隠してるよね!?」





❴ふふふ…


何故、征十郎は忘れなかったんだろうね?





というのに❵

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