第44話

ガチャ…





            スタ




         スタ

 



     スタ





  スタ







ス…










❴久しぶりだね、征十郎


    学校は楽しいかい?❵





カチャ…

       カチャ…




5メートルほど離れたテーブルに着くと

親子の会話が始まったように思えるが…




『うん、最近友達も増えたし

 周りにペース合わせるのも悪くないね


 学校、楽しいよ』





❴そうか


それを成長と呼ぶか、退化と呼ぶか…


議論の余地はありそうだが


征十郎が楽しいというのなら、

前者なのだろうね❵





『パパは、お仕事楽しい?』






❴あぁ、タノシイヨ。❵






『・・・。』






  カチャ…


       カチャ…






…―――――

征十郎が思い、感じたのは


ニ、三 交わした言葉からは、

およそ感情というものが無く、

酷く無機質だったという事。


以前から思っていたが、

他者への興味が無いのだろうか


それから、その他者とは、

自分も含まれるのだろうか・・・

          ―――――…




これまで征十郎は父親から一方的に考え方や

必要な知識だけを植え付けられてきた。


父親との対峙は何も感じずに、

何も思うことは無い、無味無臭なもの。


しかし、アリスと言葉を交わす日々を経て

感情というものに芽生えてからは、

父親の言動に違和感を覚えるようになった。




周りが異常なのではない。


今までの自分が異常だったのだ。


父親を見て、征十郎はそう思った。




仕事のことを聞くつもりが、

どうでも良くなり、早々に本題へと

踏み入る…。

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