第38話

――――――――――――――――――――…




学校から帰ると、その日の出来事をアリスに話したくて 屋敷のあちこちを探し回る征十郎。



『あれ…今日はどこだろ


 部屋にも居なかったし…』




たまたま出くわした使用人が声を掛けてきた。



「おや?


 征十郎様、何かお探しですか?」




『うん、アリスが居ないの


 さっきからずっと探してるんだけど…』




これまで3文字以上の言葉を聞いた記憶が無く、うかがっておきながら驚いた表情になる使用人。





「あ、アリスですか?



 アリスは本日、旦那様のディナーに

 同行することになっておりますので


 クロガマホールで待機中かと思われます


 ホールでは世界的に有名なアーティスト

 の演奏中でして、


 …えっと、

 パトロジカルデーモンというロック

 バンドはご存知でしょうか?


 今からですと…そうですね、

 あと30分はホールに居る筈です」




『うん、わかった

 ありがとう! スズキ』




手を振り 微笑みを飛ばすと

身体を切り返し、ダッシュで走り去ってゆく




「征十郎さま…!


 私なんぞの名前を覚えていらっしゃっ

 たのですね… 


 なんと・・・ 光栄の至り…!」

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