第37話

―――――…




この日、征十郎は終始柔らかな表情をしていた。



“性格が違う双子の子がやってきた説“

などと推理する者まで現れた。




午前中の授業までは、征十郎の一挙手一投足を伺いながら、ビクビクしつつも何事も起きずにホッと一息つくようなシーンが続いていたが、

午後の授業あたりから、少しづつ警戒が薄れていく。


いち早く順応し始めたのは、マナだ。




「征十郎くん、ちょっと…


 じゃなくて すごく変わったね?」




『あっ やっぱりわかる?


 もっと周りのことを知らないと

 ダメだな…ってなって、


 昨日あたりからアップデート

 してきたんだ』




「アップデート?


 くすっ!


 征十郎くん、

 ロボットじゃないんだから


 へんなの〜!」





『ヘンだった?


 あはは  


 でも、今のほうが周りが広く見える

 気がするし、楽しいかも



 尊い、って言うのかな


 こういうのも』






「征十郎くん 


 話しやすくなったし、


 すごく素敵だよ」






『そうかな?


 えへへ、ありがとう』





ようやく周りも理解し出し、声を掛ける者が増えてきた。





「征十郎くん、今度みんなで遊ばない?」




『いいよ 楽しみ!』




「こんなに話しやすかったんだね〜

 もっと早くに友達になりたかったなぁ」

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