第36話

そこへ、先週早退したタカヤがやって来た。



タカヤの目に真っ先に飛び込んできたのは

征十郎の姿だ。



一瞬で目が力いっぱい丸くなり、

激しく泳がせながら余所余所しく席につく。




ガタン…




すると、征十郎がくるんと振り返り

タカヤに目を向けた。



再び静まり返る教室。




皆、息を飲んで様子を伺っている。






『この間は、タカヤくんの気持ち、

 考えないでごめんね』




「なっ… 何!?


 急に何なの!?


 ごめん! まだ何かある??


 ごめん!! ほんっとうに ごめん!」




『えっ?

 どうしてタカヤくんが謝るの?


 謝らなきゃいけないのはボクの方なのに』





謎の優しさを受けて逆に恐怖を深めてしまったタカヤ。



2人のやりとりを見ている教室内も、

あまりの変わりようにまだリアクションが

追いついていない。




そんな雰囲気の中、先生がやってきた。




「ハイみんなー、席ついてー」

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