第35話

ザワザワ… ザワ…



賑やかな空間はしんと静まり返ってしまった






「せ、征十郎くん…


 おはよぅ…」




隣に座るマナが恐る恐る声を掛け、


マナの親友でもあるリンは、身構えるように横目で様子を伺っている。








『おはよう、マナちゃん』







「・・・」







ザワ…  ザワザワ…






水を打ったように静まり返っていた教室が

再びざわめき出した。






「えっ?


 征十郎くん、今 何て?」




『今? 挨拶しただけだよ?』




「それって、アタシに対して…?」




『そうだよ?


 マナちゃんに』





今目の前で起こっていることに理解が追いつかない様子のマナ。


横で見ていたリンも、周りの子どもたちも

目を丸くして驚いている。





《あの、さとメタがにこやかに


 挨拶しただとぅ!??


 天変地異の前触れか!???》





皆、激しく動揺している。



今教室内で、自然体でいるのは征十郎だけだ。

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