第32話

『アリスのお姉さん、か…


 アリスみたいに素敵な人なんだろうね』






「素敵… でした。



 実は私、その姉を探しています」






『えっ?


 お姉さん、居なくなったの??』






「はい。


 姉もこのお屋敷に務める使用人でした」






『!!』







「居なくなってもう5年になるので


 征十郎がご存知無いのも当然のこと…。



 運良く私も使用人としてこちらに

 務める事になりましたが、


 私が使用人として仕えることを

 契約したのは、


 他ならぬ姉の痕跡を探るためでした



 ですが、

 今のところは何も…」






『ボクも探してみるよ


 名前は!?』





「雇用される際、提出物には履歴書も

 何も無いですし…


 私のように本名で登録しているとも

 限りません。


 ワンダーレイドというファミリーネーム

 も、痕跡は無さそうでした」






『5年前となると、

 ボクじゃわからないな…


 そうだ!

 サイトウは…!?


 サイトウなら、5年前には居たはず』





「サイトウさんは当時、

 海外要人の護衛としてしばらく

 出張されていたそうで、


 わからないと言っていました」





『んー… そうなのか・・・


 

 パパに直接聞きたいところだけど、


 

 怪しまれちゃうよね』





「はい、


 ですから 地道に探っていこうかと

 思います


 お気遣い、誠にありがとうございます


 征十郎様」

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