第31話

「命というものは尊いものです



 母親が子を抱く姿から作られた

 好きという文字…


 そのままに捉えるならば


 女の子、と書いて“好き“



 好きになった女の子から次の命が

 生まれる・・・



 

 そして、人を受け入れる心は


 愛になる・・・愛が生まれる



 その愛によって 命は紡がれていく




 例え紡がれなかったとしても、


 生まれた愛は命に等しい




 人を愛し、愛されるということは、


 命の灯火を感じる瞬間でもあります





 ・・・そんなふうに考えるのは

 素敵なことだと思いませんか・・・?」







『そうだね、


 アリスの言うことはよくわかるよ』






「ありがとうございます、征十郎様



 無いアタマでずっと考えましたが、


 私はやはり、旦那様が仰られることに


 共感はできませんでした



 ・・・つかえる者として、

            失格ですね」






『“死“についてはパパからたくさん

 教えてもらってきたけど、

 ”生”については考えた事もなかった。



 何をどう考えるかは自由だから


 正も誤もないとは思うけど、


 好き嫌いはあって当然だと思う。



 

 ボクはアリスの考え方のが好きだな』





「ありがとうございます


 

 私の考え方は、私の姉から強く影響を

 受けています



 …この考え方は旦那様とは対局に

 あるように思いますが、


 黒鎌家に仕える者として、 

 命令に背くことはありません


 征十郎様が今後どのように考えられ

 ようとも。



 ですが正直、征十郎様には旦那様の

 ようなお考えをもってほしくはないです



   …征十郎様は、

    とても優しいかたですから」

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