第20話

8番

「・・・これは返すよ

   

   君は、 

   あの子のことが好き 

   なんだろう?」


携帯していたカバンから 

8番は さっきの小袋を取り出した


射沙波

「!?

 

    ・・・ あぁ ・・・ 


     そんなところだ…


   だが、ソイツは 

   まだアンタのものでいい・・・」



8番

「 ひょっとして、 

    片思いなのかな?」



射沙波

「…チッ…


    ・・・ みなまで言うなよ ・・・



    デリカシーがないな・・・ 」



8番

「はは・・・ デリカシーって

  君にかれるとは思わなかった」



射沙波

「今は 

    まだ アンタのものでいい・・・

  

    だがいつか、

    もう一度 


      絡ませてもらうぜ・・・」




8番

「・・・ちょっといいかな?」




その男は 

息を切らし地面に片膝をついた射沙波に

そういって

静かに語り始めた




8番

「・・・これは今、返すよ



   実は、僕も似たようなものでね…」




射沙波

「・・・えっ・・・?」




8番

「状況は違うだろうけど、

   気持ちはよくわかるな・・・


   僕の場合は 

   この気持ち・・・


   まだ本当に好きなのかも

   全然 わかってない段階だけどね」




射沙波

「・・・ あ・・・ 

        あぁ・・・」



射沙波は小袋を受け取った






8番

「ふぅ・・・


  1年生はいいね・・・

  今から いくらでも 

  チャンスがある・・・


  ・・・僕は たぶん、 

  まだ何も伝えることすら

    できないだろうけどね…」




さらに続けた



8番

「君は 正直に生きたらいい


   ”好き” って気持ちが確かなら

  

  まっすぐに伝えたほうが

  後悔はしないよ・・・



  ふふ・・・ まるで

  自分に言ってるみたいだ…」




その男は 一つ溜息をついて

寂しそうな顔を隠すように背中を向けた

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