第16話

試合はその1点を守り切り、

FCスノーフレークが勝利した


伝統の1戦が終わり 

選手たちがロッカールームに戻っていくとき


射沙波たちの前を8番が横切る


恋羽

「あ、あのっ!


   これもしよかったら!」


恋羽は意を決して 

お菓子の入った小袋を渡そうと手を伸ばす


8番

「ありがとう・・・


   でもごめん、


  ウチこういうの厳しいから・・・」



そういって小袋は受け取ってもらえず、

その場を去ろうとする8番




射沙波

「おい・・・! 8番!」


むすっとした表情で射沙波が言った


8番

「??」


ロッカールームに向かう足を止め、

きびすを返す8番


射沙波

「なぁ…そんぐれー、

    受け取ってやっても

    いいんじゃねーか?



    (イヤ、

    そこはスルーした方が

    俺得だったんじゃねーか?

    何言ってやがる・・・俺!!)」



恋羽

「イザナミくん、

   私 大丈夫だよ・・・」



8番

「・・・ふぅ・・・」



一つため息のような間をおいて 

8番は小袋を受け取ると


持っていたスポーツタオルで

小袋を包み込んで


唇に人差し指を縦に当てながら言った



8番

「君たちは1年生かな? 


   わざわざありがとう・・・ 


   コレ、カントクには内緒で・・・」



恋羽

「ゴール、素敵でした・・・ 

   がんばってください」



返事代わりにニコッとほほ笑み 

8番はロッカールームに向かっていった



恋羽はポーっとした表情でしばらく

ロッカールームを見つめていた



射沙波

「(くぅぅぅーーー〜〜!!! 

     バカバカバカ!!

     俺のバカ!!!

 

     これじゃ 

     俺がキューピッドみてーに

     なってんじゃねーか!!!!


     小袋返せ!!!!!)」

  • Xで共有
  • Facebookで共有
  • はてなブックマークでブックマーク

作者を応援しよう!

ハートをクリックで、簡単に応援の気持ちを伝えられます。(ログインが必要です)

応援したユーザー

応援すると応援コメントも書けます

新規登録で充実の読書を

マイページ
読書の状況から作品を自動で分類して簡単に管理できる
小説の未読話数がひと目でわかり前回の続きから読める
フォローしたユーザーの活動を追える
通知
小説の更新や作者の新作の情報を受け取れる
閲覧履歴
以前読んだ小説が一覧で見つけやすい
新規ユーザー登録無料

アカウントをお持ちの方はログイン

カクヨムで可能な読書体験をくわしく知る