第57話

林間学校初日の夕方、

各班は夕飯作りにいそしんでいた



~A班~


功刀谷くぬぎだに

「うぶちゃん、

    この味 どーかな~?」


濡蛍ぬれぼたる

「・・・ん・・・ 

   ちょっと待って・・・?」



猫海

「あ~!うぶっこちゃん! 

   ちょい待って!!


   コタロー、これ …何?」



功刀谷

「えっ? マーラージャンだけど?」



猫海

「カレーにこんなチューブ

   10本も入れたら死んじゃうよ? 

   うん!

   おまえん家、カレーはいつも

   こんななの?」



功刀谷

「いつもはジョロキアとか

    入れてるけど・・・

    今日はみんないるし、

    辛味抑えて、

    マーラー醤にしといたんだけど…」



濡蛍

「・・・うん・・・

   おいしいね…

   ・・・ちょうどいいかも 


   ちょっとだけ甘いけど」



猫海

「えっ? 

   うぶっこちゃん、

   味見したの?・・・コレ・・・


   甘い?? 意外と平気なのか? 


   あー、カレーのルーが程よく

   混ざって、辛みを緩和する的な…? 


   そーゆーことかな?うん・・・」



猫海はコタロー特性カレーを少しだけ

小皿に装って、口に運んだ


匂いは確かに甘さがありそうだが…




猫海

「ぬはぁぁぁぁああああああ!!!!

   っららららららら~~~

   〜〜〜~!!!!!!!!」



功刀谷

「マーラー醤は

    甘味なのになぁ・・・」



濡蛍

「・・・おかしいなぁ・・・」



実は自覚していないが、

功刀谷コタローと濡蛍うぶ は

飛びぬけた激辛耐性をもって生まれてきた

その道のギフテッドだった



織原

「恋羽ちゃん、

   ウチらは最後の工程まで自分で

   やっとこ?」



恋羽

「そ、そーだね そーしましょ」





~B班~



産毛屋

「めめくん! 

    今日いっぱい撮れた?」


女々

「撮れた撮れた!


   あとで見せたげるね?」



産毛屋

「ホント? 

   じゃぁ、集会室空いてるから

   そこでいいかな?」



女々

「オッケ!

   じゃぁ ナイトウォーク終わったら

   集会室で」



産毛屋

「わぁ! 楽しみにしてるね~?」




産毛屋リリアの作戦を知っている

浮島あいな と 凛令あんず は

二人の様子を陰から見守っていた



浮島

「うぶげちゃん、

   順調に誘い出せたみたいね?」



凛令

「なかなかやるねー 

   先回りして張り込むかなー」



そのとき、

1-6がいる炊飯場の脇を姫崎が通る




凛令

「あ・・・! 彼・・・」



浮島

「あー! 

   もしかして彼がヒメサキくん?


   …凜令ちゃんが好きな・・・」



凛令

「しーーっ!!!

   声おっきい!! 


   黙って!!!」



普段は勇ましい性格の凜令だが、

いつになくしおらしくなる


実はイザナミとつるむ彼のことを

遠くから見つめては想いを馳せる

乙女な一面を持っていたのだった



凛令

「(人のことを気にしてる場合じゃ

   なかったわ・・・


   ミーもチャンスをゲットしに

   行動にうつさねば・・・!)」



射沙波「・・・おっ・・・!」



姫崎「・・・!・・・」




グーゼン鉢合わせる二人・・・


しかし、無言のまま すれ違ってしまう



この気まずい空気はこの1か月間

何も変わっていない



それを見かける織原



織原

「(・・・なにかあったのかしら…

         様子が変だわ)」



木森林

「おぉ、織原

    俺もあとでA班で一緒に

    食事するから、向こうの倉庫から

    テーブルと食器を取ってきて

    くれないか?


    俺は校長のとこに行く用事が

    あるから・・・」



織原

「あー、わかりました!

   宿舎の脇の 

   道路沿いの所でしたよね?」



木森林

「おう! 

   もうすぐ暗くなるから

   気を付けてな?」



恋羽

「モエカちゃん、私も手伝おうか?」



織原

「ヘーキ!

   恋羽ちゃんは 火加減見てて?


   あと、…コタローちゃんに

   ヤバイの入れられないように

   気をつけて?」



恋羽

「あ、うん わかった」

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