第35話

射沙波

「な・・・なぁ・・・」



織原

「なに?」



射沙波

「しりとり…でもすっか? 


    やることねーし・・・」



織原

「は? こんな状況で??


   …んっ… 


    (いけない…っ!


    なんなのこの左手…?


    ヘンな声出ちゃうじゃない…) 」



射沙波

「 (たのむ、今、

     ヘンな声だすな…!) 」



イザナミにはちょっとした事情があった


ほかの事を考えなければいけない事情が



射沙波

「(まずい・・・この状況・・・)」


     

そう、モエカの胸が

イザナミに密着していること


これは思春期男子にとっては一大事!


そして追い打ちをかけるように

お互いの脚と脚が折り重なっている状況



そこへモエカの声が重なる…



このようなシチュエーションで

ユラくんのユラくんが無事であるはずもなく


第三の脚として

芽吹いてしまっているのだった




織原

「つーか・・・このモノ・・・ 

   邪魔よ・・・」



モエカは 

"身体に当たる得体の知れないモノ"を

力任せに 自分の足で押しのけようとする




射沙波

「おぅっ!!! 

   

  痛てててててっ!!!


  頼む・・・ 

  俺の大事な 客人きゃくんちゅ を…!!

    邪険にせんといてくれっ…!!!」



織原

「なに訳わかんないこと

   いってんのよ!?」



グイイイイッ!!!



射沙波

「あぎゃぁぁぁぁっ!!! 

    タイムタイム!!!


    それ以上は・・・ 


        はぁぁぁっ・・・」



織原

「ちょっと、ヘンな声出さないで?


   キモイから」




仕掛け人、越野こしの 芽栗めぐり

小窓から様子をうかがっていた




店長

「うーーん、・・・

   やっぱりこの技は難しいわねん・・・


   まだまだ完成までは

   ほど遠いわんねっ」





コンコンコン・・・ ガチャ・・・






店長

「お客様、

   大変ご不便をおかけしました・・・


   今、解放いたしますんねっ


   んねっ・・・ 

   んねっ・・・ ・・・ 


      んねっ

        ・・・ っと」



射沙波

「(あっぶねー・・・


     もうちょっとで 

     大惨事になるとこ

     だったぜ・・・)」



織原

「(あれ・・・

    寒くなくなってる・・・


    むしろ熱いくらい・・・


    ってゆーか、カオ・・・

    絶対まっかっかだし!)」






ちなみにだが、



ターゲットを「キャッチ」し

照れながらも「安堵」させ

頃合いを見て「リリース」する



まさにこの技は店名の由来ともなったのだが

後の雑誌インタビューで明かされることと

なるのは もう少し先の話・・・

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